どうも、ひろきちです。
10月30日(金)の米国株式市場では、ファッションブランドのマイケル・コースなどを持つカプリ・ホールディングス(CPRI)も大きく買われました。前日終値16.06ドルから、終値18.68ドルへ。1日で16.31%の上昇です。同日に発表された決算で、売上は減ったのに、利益が市場予想を大きく上回ったためです。今回は、この「売上は減っているのに、なぜ買われたのか」を中心に整理します。
カプリ・ホールディングスはどんな会社?稼ぎ頭はマイケル・コース
カプリは、ニューヨーク証券取引所に上場しているファッション・ブランド会社です。現在の主なブランドは次の2つです。
・マイケル・コース:バッグや服、靴などを扱う「手の届く高級ブランド」
・ジミー・チュウ:靴とバッグで知られるラグジュアリーブランド
直近の売上(2026年7-9月期)では、マイケル・コースが約6.6億ドル、ジミー・チュウが約1.5億ドルです。会社全体の約8割をマイケル・コースが占めています。
もともとはヴェルサーチも傘下にありましたが、2025年12月にプラダへ売却を完了しました。売却額は約13.75億ドルです。この売却で得たお金で借金を減らし、事業をマイケル・コースとジミー・チュウに絞ったのが、いまのカプリです。
なお、決算期は3月末です。今回の「2026年7-9月期」は、会社の呼び方では「2027年3月期の第2四半期」にあたります。
株価と投資指標:10月30日終値18.68ドル、利益予想の約8.5倍
株価の動きです。2026年10月30日の終値で見ます(出典:StockAnalysis.com)。
・10月29日終値:16.06ドル(この日も+5.04%)
・10月30日終値:18.68ドル(前日比+16.31%)
・10月30日の高値:19.14ドル、出来高は約981万株(前日は約463万株)
出来高は前日の2倍以上になりました。
割安さの目安として、会社が出した2027年3月期の調整後1株利益の見通し(約2.20ドル)で計算してみます。18.68ドル÷2.20ドルで、約8.5倍です。これは私の概算ですが、PER(株価が1株利益の何倍かを示す割安さの目安)が10倍を切る水準です。もちろん、見通しどおりに利益が出ればの話です。
業績チェック:売上は5.5%減、でも利益は大きく改善
7-9月期決算の主な数字です(出典:カプリのSEC提出資料)。
・売上高:8.09億ドル(前年同期比-5.5%)
・粗利益率:63.3%(前年は61.0%)
・調整後の営業利益:3,100万ドル(前年は2,000万ドル)
・調整後1株利益:0.42ドル(前年は-0.03ドル、市場予想は0.21ドル)
ブランド別の売上は、次のとおりです。

このグラフから分かるのは、マイケル・コースが前年より約8.6%減った一方で、ジミー・チュウは約11.5%増えたということです。会社全体の売上は減っていますが、ジミー・チュウは若い人に人気のカジュアルな靴やバッグが売れています。
売上が減ったのに利益が増えた理由は、値引きを減らしたことです。報道によると、マイケル・コースでは値引き品の在庫を約40%、セールの日数を約50%減らしました。短期的には売上が落ちますが、定価に近い価格で売れるので、粗利益率は上がります。いま会社は、売上よりも利益を優先する方針に切り替えているのだと思います。
なお、今回の売上には、取引先への出荷が予定より早まった約2,000万ドルが含まれています。次の四半期の売上が、その分だけ少なくなる点には注意が必要です。
今後の経営方針:借金返済と自社株買い、そして売上の回復
会社が今後の方針として示しているのは、次の3点です。
① 借金の返済:純有利子負債は2025年9月末の約16億ドルから、2026年9月末の約3.4億ドルまで減りました。

このグラフから分かるのは、ヴェルサーチ売却の資金などで、財務の重さがかなり軽くなったことです。
② 自社株買い:7-9月期だけで約1.5億ドルを使い、約1,030万株を買い戻しました。通期の自社株買いの目標も3億ドルに引き上げたと報じられています。株の数が減ると、1株あたりの利益は増えます。
③ 売上の回復:会社は、2027年3月期の後半に、売上が増加に転じると見ています。通期の見通しは、売上高が約34.2億ドル、調整後の営業利益が約1.75億ドル、調整後1株利益が約2.20ドルです。長期の目標としては、マイケル・コースの売上40億ドル、営業利益率20%台前半を掲げています。
株価の展望:強気材料と弱気材料
強気材料です。
① 利益の質が改善しています。値引きを減らして粗利益率が上がり、利益が出る体質に変わってきました。
② 財務が軽くなっています。純有利子負債は約3.4億ドルまで減り、自社株買いを続ける余力も出ています。
③ ジミー・チュウが伸びています。売上は約11.5%増で、営業利益も赤字から黒字に変わりました。
弱気材料です。
① 稼ぎ頭のマイケル・コースの売上が減っています。値引きを減らす戦略が、お客さんの離れにつながっていないかは、これから確認が必要です。
② 売上の回復は、まだ「見通し」にとどまります。後半に増加へ転じるという計画が実現しなければ、期待は外れます。
③ 今回の利益には、一時的な要因が混ざっています。出荷時期の前倒し(約2,000万ドル)に加えて、自社株買いによる1株利益の押し上げもあります。本業の力だけで利益が増えたわけではない点には、注意したいところです。
個人的には、「売上を落としてでも利益を取りにいく」という戦略が、数字で結果を出し始めたことは前向きに見ています。ただ、このやり方は、ブランドの人気が落ちないことが前提になります。次の四半期以降で、マイケル・コースの売上の減り方が小さくなっていくか、そこを確認したいです。
まとめ:売上は減少、でも利益重視の戦略が結果を出し始めた
カプリは、7-9月期に売上が5.5%減ったものの、調整後1株利益は0.42ドルと予想の約2倍になりました。株価は10月30日に+16.31%の18.68ドルで引けています。借金が大きく減り、自社株買いも進んでいる一方で、稼ぎ頭のマイケル・コースの売上はまだ減っています。売上が回復に転じるかどうかが、次の注目点です。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
【参考・出典】
・株価:StockAnalysis.com(2026年10月30日終値)
・7-9月期決算・見通し:Capri Holdings Form 8-K(2026年10月30日提出、SEC)
・自社株買い目標・値引き削減などの補足:Motley Fool(2026年11月1日)、Investing.com
・ヴェルサーチ売却:同社発表および報道(プラダへの売却額は約13.75億ドル)
・PERの概算は、終値18.68ドルを会社見通しの調整後1株利益2.20ドルで割ったひろきち試算です
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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