どうも、ひろきちです。
10月28日(米国時間)、データセンター向けの電源・冷却機器を手がけるVertiv(バーティブ、ティッカー:VRT)が2026年7〜9月期の決算を発表し、株価が大きく動きました。AI関連の設備投資が続くなかで「裏方の主役」とも言われる会社なので、今回は決算の中身と今後の見通しを整理してみます。
Vertivはどんな会社?AIデータセンターの「電気と冷却」を支える会社
Vertivは、データセンターを安定して動かすための機器とサービスを作っている会社です。具体的には、停電しても電気を途切れさせない電源装置(UPS)、サーバーを冷やす空調や液冷(液体で冷やす方式)の設備、そしてその保守サービスなどです。
AIの計算を行うサーバーは、とにかく電気を使い、熱を出します。そのため、サーバーそのものを作る会社だけでなく、電気と冷却を担う会社の出番も増えています。Vertivはその代表格です。
決算資料では、地域別に「米州」「アジア太平洋」「EMEA(欧州・中東・アフリカ)」の3つに分けて売上を開示しています。2026年7〜9月期の売上は、米州が約29.9億ドル、アジア太平洋が約7.8億ドル、EMEAが約5.4億ドルで、米州が全体の約7割を占めました(出典:Vertiv決算発表資料、2026年10月28日)。
株価と投資指標:決算で大きく上昇
株価の動きから見ていきます。決算発表前の10月27日終値は208.56ドルでした。10月28日は決算を受けて、取引開始前の時間外取引で約13%高の236ドル台まで買われたと報じられています(出典:Investing.com)。通常取引での10月28日の終値は、今回の調査では確認できていないため、正確な値は取引所や証券会社の画面でご確認ください。
なお、直近の高値圏を見ると、MarketBeatの記事では過去1年の高値は約380ドルとされています。8月中旬の終値は293.39ドルだったため、今回の上昇前にはかなり調整していたことになります。
割安・割高の目安として、会社が示した2026年通期の調整後EPS(1株あたり利益)予想の中央値7.15ドルで、時間外の236.42ドルを割ると、PER(株価が1株利益の何倍かを示す目安)は約33倍です。あくまで会社予想ベースの簡易的な計算で、株価が動けば当然変わります。
円換算の場合は為替の影響を受けます。米国株は、株価が変わらなくても円高になると円ベースの評価額が下がる点には注意が必要です。
業績チェック:売上は前年同期比61%増
2026年7〜9月期の主な数字です(出典:Vertiv決算発表資料)。
・売上高:43.1億ドル(前年同期比61%増。うち買収の寄与は約6%で、既存事業だけでも55%増)
・調整後営業利益:10.9億ドル(同82.5%増)、調整後営業利益率25.2%(前年同期は22.3%)
・調整後EPS:2.21ドル(前年同期は1.24ドルで、78%増)
・調整後フリーキャッシュフロー:6.5億ドル(同50%増)
・受注(既存事業):前年同期比100%超の増加
市場予想は売上37.5億ドル、調整後EPS1.82ドルだったと報じられていて、どちらも大きく上回りました(出典:Investing.com)。

上の図は、売上高と調整後営業利益の推移です。2024年の80億ドルから、2026年は会社予想の中央値で約146億ドルと、2年で2倍近くになる計画で、利益も同じ勢いで伸びていることが分かります(2024年・2025年は実績、2026年は会社予想の中央値)。
今後の経営方針:通期予想を引き上げ、工場も増強
今回、会社は2026年通期の見通しを全項目で引き上げました。
・売上高:144.5億〜148.5億ドル(中央値146.5億ドル。売上予想は中央値で6.5億ドルの引き上げ)
・調整後EPS:7.10〜7.20ドル
・調整後営業利益率:23.5〜24.5%
・調整後フリーキャッシュフロー:26億〜28億ドル
10〜12月期は、売上43.1億〜45.1億ドル、調整後EPS2.22〜2.28ドルを見込んでいます。
決算説明会では、マレーシアとスロバキアでの新工場や、EMEAでの冷却機器の生産能力の倍増といった増産計画が語られました。また、AIサーバー向けの800ボルト直流(DC)電源の製品は、2027年から売上が立ち、2028年に本格化する見込みと説明されています(出典:Investing.com決算説明会の要約)。
財務面では、9月末時点で現金が約35億ドル、負債が約29億ドルで、差し引き約7.8億ドルの純現金(借金より現金が多い状態)です。
株価の展望:強気材料と弱気材料
ここからは、強気と弱気の両方を整理します。
強気材料
①受注が前年同期比で100%超増えており、需要の強さが数字に出ている。会社は「一時的な駆け込みではなく市場の強さ」と説明しています。
②利益率が改善している。売上が6割増えるなかで、調整後営業利益率が2.9ポイント上がりました。
③財務が健全。純現金があり、設備投資や買収に余力があります。
弱気材料
①2027年の見通しがまだ示されていない。市場は「来年も伸びるか」を最も気にしており、10〜12月期の売上予想が7〜9月期とほぼ横ばいに見える点も、アナリストから質問が出ていました。
②在庫が前年から2倍超に増えており、運転資金の負担が気になります。さらに、新製品の立ち上げ時の品質問題について質問があり、会社は「完璧ではない」と認めています。
③電力の確保、許認可、人手不足など、データセンター建設のペースを左右する要因が会社の外側にある。AI投資の勢いが弱まれば、受注にも影響します。
個人的な見解です。決算の中身は文句なしに強く、AIインフラ投資の「恩恵を受ける側」としては分かりやすい銘柄だと思います。ただ、株価は10月27日の終値から大きく動いたうえ、PERも30倍台と、期待がかなり織り込まれています。今後は「来年も受注が続くか」が焦点になるので、私なら一気に買わず、時期を分けて少しずつ検討すると思います。もちろん、判断は人それぞれです。
まとめ:数字は強い。次の焦点は2027年の見通し
Vertivの7〜9月期は、売上61%増、受注100%超増、通期予想の引き上げと、非常に強い内容でした。一方で、来年の見通しがまだ出ていないことや、新製品の品質、AI投資への依存といった課題もあります。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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