どうも、ひろきちです。
今回は香港の漢方(伝統的中国医学)バイオ、レジェンセル・バイオサイエンス(RGC)を取り上げます。10月15日(米国時間)の終値は9.52ドルで、1日で約17%上昇しました。ただ、この会社には売上がありません。それでも時価総額は約47億ドルあります。なぜそうなっているのか、数字を見ながら整理します。
レジェンセルはどんな会社? ADHDと自閉症向けの漢方薬を開発
レジェンセルは2014年設立、本社は香港で、2021年7月にナスデックに上場しました。注意欠如・多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)を対象に、標準化した液体の漢方薬の開発を進めています。従業員は10名程度の小さな会社です。
大事な点は、現時点で承認された製品がなく、製品売上もゼロだということです。会社自身も年次報告書(20-F)で「販売できる製品はなく、製品売上は生じていない」と説明しています。つまり、いま株価を動かしているのは「将来、薬として認められるかもしれない」という期待です。
開発の状況は次のとおりです。
・香港で、ADHDとASDを対象にした2回目の有効性試験が進行中です。ただし、試験の設計を見直す可能性があると会社は述べています。
・香港の中医薬管理委員会への承認申請は、報告書の時点でまだ行っていません。
株価と投資指標:1年で乱高下。時価総額47億ドルの意味
10月15日(米国時間)の終値は9.52ドルで、時価総額は約47.2億ドルです(出典:stockanalysis.com)。過去52週の値幅は4.51ドル〜69.00ドルと、15倍以上の開きがあります。
この株は2026年に入って極端な値動きをしました。報道では、1月にはストック分割(38分割)のあと急騰し、その後は大きく下げています。会社に明確な材料がないまま動いたとする記事もあり、取引量が少ない中で個人投資家の売買が値動きを増幅しているという指摘があります。10月15日の上昇も、私が確認できた範囲では会社発表の明確な材料は見当たりませんでした。
発行済み株式数は約4.96億株です。時価総額47.2億ドルを、直近の純損失1,170万ドルで割ると、およそ400倍になります。利益が出ていない会社なのでPERは使えませんが、「いまの業績を前提にした価格ではない」ことは確かです。
業績チェック:売上ゼロ、FY2026の赤字は約3倍に
決算期は6月です。純損失は次のように推移しています(単位は百万ドル)。
・FY2023:約5.87(第三者データ)
・FY2024:4.36
・FY2025:3.58
・FY2026:11.70

この図から、FY2025まで縮小していた損失がFY2026に一気に約3倍へ膨らんだことが読み取れます。
FY2026の営業費用は1,172万ドルで、前年の377万ドルから大きく増えました。増加の中心は一般管理費で、1,042万ドル(前年は281万ドル)です。内訳として、専門家への報酬が313万ドル、株式報酬の費用が302万ドル、人件費が147万ドル、それぞれ増えました。つまり、研究開発が急に進んだからではなく、管理面のコストが膨らんだことが主な理由です。
資金面では、2026年5月に登録直接募集(新株を特定の投資家に売る資金調達)を実施し、会社は「少なくとも12か月は資金が足りる」と判断しています。ただし、調達条件は私が確認できた資料では分かりませんでした。参考までに、2024年6月末の現金と短期投資は合計で約796万ドルでした。
今後の経営方針:承認に向けた試験と、資金の確保
会社の当面の課題は、2回目の有効性試験を完了させること、そして規制当局への承認申請に進めるかどうかです。年次報告書では、損失は今後も増えていく見込みで、事業計画の実行には大きな追加資金が必要になる可能性があると述べています。
追加の資金調達は新株の発行を伴うことが多く、株式の価値が薄まる(希薄化)リスクがあります。株主還元(配当や自社株買い)を期待できる段階の会社ではありません。
株価の展望:強気材料と弱気材料
強気材料から見てみます。
①成功した場合の大きさ:ADHDやASDには根強い需要があり、効果が確認できれば新しい選択肢として注目される可能性があります。
②資金面の当面の安心感:2026年5月の資金調達により、12か月程度は事業を続けられる見込みです。
③法的リスクの一部が解消:株主による集団訴訟は、2026年9月14日に原告が取り下げを届け出て終了しました。
弱気材料はそれ以上に重いと見ています。
①売上も製品もない:承認された製品がなく、承認申請もまだです。試験設計の見直しが必要になる可能性もあります。
②価格が業績から大きく離れている:時価総額は純損失の約400倍で、期待が外れたときの下落幅が大きくなりかねません。
③支配株主と調査リスク:会長兼CEOが約4.38億株を実質保有し、議決権の約88.3%を握っています。また、米国司法省による同社株の取引に関する調査が続いており、会社は協力しているものの、多額の法務費用を見込んでいます。
④流動性と希薄化:取引量が少なく、少しの売買で価格が大きく動きます。追加の資金調達で株式が増える可能性もあります。
個人的には、これは投資というより、結果が出るかどうかに賭ける投機に近い銘柄だと見ています。あえて触るなら、失ってもいい金額に限り、ニュースだけで追いかけないことが大切だと思います。株価の方向を断定することはできません。あくまで私の見方です。
まとめ
レジェンセルは、ADHDと自閉症向けの漢方薬を開発する香港のバイオ企業で、売上はゼロ、FY2026の純損失は1,170万ドルに拡大しました。それでも時価総額は約47億ドルあり、価格は将来への期待で支えられています。強気材料は「うまくいったときの大きさ」で、弱気材料は「業績の裏付けのなさ」と「支配株主・調査リスク」です。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
出典:Regencell年次報告書(20-F、2026年10月7日提出:要約ページ)、FY2024の20-F(SEC)、株価・指標はstockanalysis.com(10月15日終値)。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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