どうも、ひろきちです。
今回はキンドリル・ホールディングス(KD)を取り上げます。10月15日(米国時間)の終値は13.19ドルで、1日で約12%上昇しました。ただ、この会社は2026年2月に決算の失望と会計調査の発表が重なり、株価が1日で5割以上下落した経緯があります。反発したいま、何が起きていて、これからどうなりそうなのかを整理します。
キンドリルはどんな会社?ITインフラを任される「縁の下の力持ち」
キンドリルは、2021年にIBMから分離・独立したITインフラサービスの会社です。大企業のデータセンター、ネットワーク、クラウドの運用といった「止まったら困るシステム」を代わりに運用・管理するのが主な仕事です。決算期は3月で、この記事では「2026年3月期」を「FY2026」と表記します。
収益の柱は、長期契約で運用を請け負うビジネスです。そこに加えて、いま会社が力を入れているのが次の2つです。
・ハイパースケーラー(AWS、Microsoft、Googleなどの巨大クラウド企業)との協業:FY2026のハイパースケーラー関連売上は19億ドルで、前年から59%増えました。
・コンサルティング部門(Kyndryl Consult):FY2026の売上は35億ドルで、前年から18%増えました。
つまり「古い運用の仕事は減らしつつ、成長分野を伸ばす」という入れ替えの途中にいる会社だと思います。
株価と投資指標:2月の急落から小幅に戻した段階
10月15日(米国時間)の終値は13.19ドル、時価総額は約28.7億ドルです。過去52週の値幅は10.10ドル〜29.45ドルで、いまの株価は高値の半分以下の水準です。
PER(株価が1株あたり利益の何倍かを示す割安さの目安)は、直近の実績ベースで約34倍、来期予想ベースで約5.3倍と表示されています。実績が高いのは、最近の利益が小さいためです。アナリストの見方は6人の平均で「Hold(中立)」、目標株価の平均は14.20ドルで、現在値からは約8%上という位置づけです(出典:stockanalysis.com)。
株価が大きく崩れたのは2026年2月9日です。このとき会社は、次の3つを同時に発表しました。
(1)四半期決算が市場予想に届かず、FY2026の売上見通しを「成長」から「為替の影響を除いて2〜3%の減少」へ引き下げた。
(2)キャッシュ管理の運用と、その開示内容を監査委員会が見直すため、四半期報告書(10-Q)の提出を遅らせると発表した。あわせて米国証券取引委員会(SEC)から書類提出の要請を受けたことも公表した。
(3)CFO(最高財務責任者)と法務責任者が退任した。
報道では、この日の下落率は5割台半ばとされています。その後、2月11日には投資家による集団訴訟も提起されました。SECの調査の最新状況は、私が確認できた範囲では分かりませんでした。ここは今後の最大の注目点です。
なお、10月15日に株価が約12%上がった理由については、はっきりした材料を確認できていません。

業績チェック:売上は横ばい、利益は改善。でも直近は赤字
売上高と税引前利益(会社の本業と財務を合わせた、税金を引く前の利益)の推移は次のとおりです。
・FY2024:売上161億ドル、税引前損失1.68億ドル
・FY2025:売上150.57億ドル、税引前利益4.35億ドル
・FY2026:売上150.92億ドル、税引前利益4.14億ドル、純利益1.98億ドル
売上は約150億ドルで横ばいですが、赤字だったFY2024から黒字に転換しました。調整後EBITDA(利息・税金・減価償却などを除いた、稼ぐ力を示す指標)はFY2026に26.7億ドルで、前年から6%増えています。FY2026のフリーキャッシュフロー(自由に使える現金)は4.06億ドルでした。
この図から、売上は伸びていないものの、利益は赤字から黒字に変わり、ここ2年は横ばい圏にいることが読み取れます。
一方、直近の2026年4〜6月期(FY2027の第1四半期)は厳しい内容でした。
・売上高:36.18億ドル(前年同期比3%減)
・税引前損失:0.69億ドル(前年同期は0.92億ドルの利益)
・純損失:0.55億ドル
・調整後EBITDA:5.12億ドル(前年同期は6.47億ドル)
・フリーキャッシュフロー:マイナス4.01億ドル(前年同期はマイナス2.22億ドル)
この四半期には、人員の再配置に伴う費用が1.52億ドル含まれていました。会社はFY2027全体でこの費用を約2億ドルと見込み、FY2028には年間4〜5億ドルのコスト削減につながるとしています。出典は会社の決算資料(2026年8月5日付)です。
今後の経営方針:コスト削減と成長分野への入れ替え
会社が示しているFY2027の見通し(2026年8月に再確認)は次のとおりです。
・調整後の税引前利益:6億〜7億ドル(人員再配置の費用を含む)
・フリーキャッシュフロー:4億〜5億ドル
・売上高:為替の影響を除いて横ばい〜2%減
方向性は大きく3つあると見ています。1つ目は、採算の低い契約を減らして利益率を上げること。2つ目は、ハイパースケーラーやコンサルティングなど成長分野を伸ばすこと。実際、直近四半期もハイパースケーラー関連売上は5.3億ドル超で前年から34%増えました。3つ目は、AIを使った自動化で運用の効率を上げることです。
株主還元では自社株買いを続けています。2024年11月からの累計は、1,930万株・4.62億ドル(発行済み株式の約8%)です。直近の四半期末時点で、手元資金は21.04億ドル、有利子負債は40.70億ドルでした。
株価の展望:強気材料と弱気材料
強気材料から整理します。
①業績の底打ち感:FY2026は赤字だったFY2024から黒字になり、調整後の利益は前年比21%増の5.81億ドルでした。
②成長分野の伸び:ハイパースケーラーとコンサルティングが二桁成長を続けています。
③割安感:来期予想PERは約5倍で、アナリストの目標株価(14.20ドル)に対してもまだ上値の余地を見る向きがあります。
弱気材料も同じ重さで見ておく必要があります。
①会計・内部統制への疑念:SEC対応、内部統制の弱点の報告見込み、集団訴訟が重なっており、決着までは不透明感が残ります。
②利益とキャッシュの弱さ:直近四半期は赤字で、フリーキャッシュフローもマイナスです。人員の再配置費用も続きます。
③売上が伸びない:FY2027も売上は横ばい〜減少の見通しで、成長ストーリーはまだ数字に出ていません。
個人的には、数字そのものは「底打ちの途中」に見えますが、2月の出来事で失った信頼が戻るまでには時間がかかると見ています。調査や訴訟の結果、そして次の決算でキャッシュフローが改善に向かうかを確認してから判断しても遅くないと思います。株価の方向を断定することはできませんので、あくまで私の見方です。
まとめ
キンドリルは、ITインフラ運用の大手で、売上は横ばいながら黒字化を果たし、成長分野を伸ばしています。一方で、2月に表面化した会計・SEC対応の問題と、直近四半期の赤字・キャッシュの流出という重い材料を抱えています。「割安に見える」ことと「安心して買える」ことは別だと、改めて感じる銘柄です。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
出典:Kyndryl決算資料(2026年8月5日、2026年5月5日、2024年5月7日)、株価・指標はstockanalysis.com(10月15日終値)。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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