どうも、ひろきちです。
10月22日の米国市場で目立った動きをみせたのが、音楽配信大手のSpotify(スポティファイ、SPOT)です。7-9月期決算を発表し、株価は取引時間中に約9%上昇しました。ところが、1株利益は市場予想を下回っています。「予想より悪いのに、なぜ株価が上がったのか」が気になったので、数字を整理してみました。
Spotifyはどんな会社?月間利用者7.88億人の音楽配信サービス
Spotifyは、スウェーデン発の音楽・ポッドキャスト配信サービスです。スマホやパソコンで、月額料金を払えば広告なしで音楽を聴き放題にできる「プレミアム」と、広告を聞く代わりに無料で使える「広告付き」の2本立てで運営しています。
2026年7-9月期の時点で、月間利用者数(MAU)は7億8,800万人、有料会員は3億600万人です。いずれも前年同期から、利用者は11%、有料会員は9%増えました。
収益の柱はやはり有料会員の月額料金です。同期の売上高4,969百万ユーロのうち、プレミアムが4,487百万ユーロ、広告付きが482百万ユーロで、計算するとプレミアムが約9割を占めます。広告の比率はまだ1割弱ですが、成長の余地があるのは広告側だと思います。
株価と投資指標:決算後に約9%高の573ドル
10月22日の決算発表後、SPOTは取引時間中に約9.2%上昇し、573.22ドルをつけました(Benzinga報道時点。終値ではなく取引中の値です)。発表前の時間外では5〜7%程度の上げでしたので、決算の中身を見て買いが広がったようです。
値動きの背景も触れておきます。1年前の2025年10月17日の終値は671.04ドル(MarketBeat)でしたので、今回の株価はそれよりまだ低い水準です。また、2026年5月11日には419.50ドル(Value Research)まで下がっていました。そこからだと約4割上がった計算です。
PER(株価が1株利益の何倍かを示す割安さの目安)は、決算直後の確かな数値を確認できなかったため、ここでは掲載を控えます。ご自身で最新値を確認してください。
業績チェック:売上は16%増、営業利益は15%増、純利益は42%減
2026年7-9月期の数字は次のとおりです。出典はSpotifyが米国SECに提出した決算資料(6-K)です。
・売上高:4,969百万ユーロ(前年同期4,272百万ユーロ、+16%)
・粗利益:1,639百万ユーロ(同1,351百万ユーロ、+21%)。粗利益率は33.0%で、前年より1.36ポイント改善
・営業利益:672百万ユーロ(同582百万ユーロ、+15%)
・純利益:518百万ユーロ(同899百万ユーロ、-42%)、希薄化後1株利益は2.48ユーロ(同3.28ユーロ)
・フリーキャッシュフロー(本業で稼いだ現金から投資を引いた自由に使えるお金):735百万ユーロ(同806百万ユーロ、-9%)
図にすると次のようになります。

この図から、売上・粗利益・営業利益は前年を上回る一方、純利益だけが前年より小さくなっていることが読み取れます。
純利益が減った詳しい理由は、今回の資料からは確認できていません。ただ、本業の儲けを示す営業利益は増えています。会社も「全ての主要指標が見通し以上だった」と説明しており、株価が上がったのは、営業利益と今後の見通しが好感されたからではないかと見ています。なお、営業利益率は13.5%で、前年(13.6%)とほぼ同じです。
今後の経営方針:Q4は営業利益820百万ユーロを計画
会社は次の10-12月期について、次のような見通しを示しました。
・月間利用者数:8億1,800万人
・有料会員:3億1,600万人
・売上高:5,200百万ユーロ
・粗利益率:33.8%
・営業利益:820百万ユーロ
今期(672百万ユーロ)から820百万ユーロへの引き上げ計画ですので、利益がさらに伸びる前提です。CFOは広告事業について「10-12月期も、2桁成長に向けて前進を続ける」と述べています。
新しい機能にも力を入れています。共同CEOのソダーストローム氏によると、複数の曲を混ぜるプレイリスト機能を使うプレミアム会員は約4,000万人で、利用は前期比で90%増えているそうです。リミックスやカバーの提供でも、新たなパートナーを加えたと説明しています。
手元資金も厚く、現金・短期投資は99億ユーロあります。直近12か月のフリーキャッシュフローは約32億ユーロです。
株価の展望:強気材料と弱気材料
まず強気材料です。
①利益率の改善が続いている。粗利益率が前年から1.36ポイント上がり、次の四半期の見通しも33.8%とさらに高い。
②営業利益が会社計画どおりに伸びている。10-12月期は820百万ユーロと、さらに増える計画。
③手元資金とキャッシュを生む力が大きい。直近12か月のフリーキャッシュフローは約32億ユーロ。
次に弱気材料です。
①1株利益は市場予想を下回った。純利益は前年より4割以上減っている。
②10-12月期の売上見通し(5,200百万ユーロ)は、市場予想(約5,240百万ユーロ)をわずかに下回る。
③フリーキャッシュフローは前年より9%減っている。また、株価は1年前の水準にまだ届いておらず、短期で上がった分の反動も考えられる。
個人的には、短期の数字よりも「利益を出しながら利用者を増やせている」点に注目しています。ただ、決算後に約9%上がった直後ですので、今から買う場合は値動きが大きくなる点に注意したいと思います。上がるか下がるかを断定することはできませんが、次の決算で820百万ユーロの営業利益が達成できるかが一つの目安になりそうです。
円換算の金額は為替によって変わりますので、ご自身で最新のレートを確認してください。
まとめ:予想未達でも、利益の質で評価された決算
今回のSpotifyは、1株利益は予想に届かなかったものの、売上16%増・営業利益15%増で、10-12月期の利益見通しも強気でした。株価が約9%上がったのは、そこが評価されたからだと思います。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
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出典:Spotify 決算資料(6-K)、Digital Music News、Benzinga、MarketBeat、Value Research
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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