【銘柄分析】スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の今後は?売上見通し大幅上振れで株価+9.6%、35.57ドルの実力を解説

投資のいろは

どうも、ひろきちです。

米国時間10月21日、AIサーバー大手のスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI、以下スーパーマイクロ)の株価が大きく上昇しました。10月20日の取引終了後に、7〜9月期(2027年6月期の第1四半期)の売上高の速報値を会社が発表し、これが従来の見通しを大きく上回ったためです。今回は、この注目銘柄を「どんな会社か」「数字は本当に良いのか」「株価はこの先どうなりそうか」の順に、分かりやすく整理します。

スーパーマイクロはどんな会社?AIサーバーを作る米国企業

スーパーマイクロは、データセンター向けのサーバー(大量の計算を行うコンピューター)を設計・製造する米国のNasdaq上場企業です。特に、NVIDIAのAI向け半導体を搭載した高性能サーバーを、顧客の注文に合わせて素早く組み上げる点を強みとしています。

AIの学習や運用には膨大な計算能力が必要で、そのための「箱」にあたるのがAIサーバーです。クラウド事業者や企業がAI設備を増やすほど、スーパーマイクロのような会社に注文が入る構図です。

【画像:売上高の推移グラフ(2025年6月期 22.0B$ → 2026年6月期 39.1B$ → 2027年6月期 会社見通し65〜72B$)をここに挿入】

グラフのとおり、売上高は1年で約1.8倍に増え、会社はさらに今期の大幅増を見込んでいます。AI需要の波に乗っている会社であることが一目で分かります。

株価と投資指標:10/21終値は35.57ドル、前日比+9.55%

10月21日の終値は35.57ドルで、前日終値(32.47ドル)から3.10ドル、9.55%の上昇でした。取引中には37.45ドルまで上がり、出来高は約8,200万株と活発でした。(出典:stockanalysis.com、10月21日終値時点)

主な投資指標は次のとおりです。

・時価総額:約233.7億ドル
・PER(株価が1株利益の何倍かを示す割安さの目安):約10.9倍(実績ベース)、予想ベースで約7.6倍
・過去52週の値幅:19.48ドル〜55.35ドル
・配当:なし
・アナリスト目標株価の平均:42.27ドル(18人の評価は「Hold(様子見)」)

52週高値の55.35ドルと比べると、まだ約3分の1安い水準です。PERが一桁台と低いのは、利益の割に株価が高く評価されていない、つまり市場がこの会社の利益の持続性を慎重に見ていることの表れだと思います。なお、本記事のドル建て価格は円換算していません。為替の影響も受けるため、日本の投資家は円ベースの損益にも注意が必要です。

業績チェック:売上は急拡大、でも利益率は低下

まず直近の通期決算です。2026年6月期(2025年7月〜2026年6月)の売上高は391億ドルで、前の期の220億ドルから大きく伸びました。(出典:会社発表の決算プレスリリース、SEC提出の8-K)

今回の速報は、2026年9月末までの第1四半期についてです。

・売上高:185億〜195億ドル(従来見通し145億〜155億ドル)
・粗利益率(売上から原価を引いた利益の割合):12.0〜12.5%(従来見通し10.4〜10.8%)
・前四半期(2026年6月期の第4四半期)の売上高は111億ドル

中央値で見ると、会社が当初描いていた水準より約40億ドル多い計算で、会社は「AIプラットフォームへの需要増」を理由に挙げています。粗利益率も従来見通しより上がりました。ただし、これは監査前の速報値で、正式な決算は11月3日に発表される予定です。

気をつけたいのは利益率です。通期の粗利益率は2023年6月期の18.0%から2026年6月期は10.8%へ下がっています。売上は大きく伸びても、稼ぐ力(1ドル売ったときに残る利益)は薄くなっているのが弱点です。また、2026年6月期のフリーキャッシュフロー(事業で稼いだ現金から設備投資を引いたもの)は約70億ドルのマイナスでした。事業拡大に伴う在庫や運転資金の負担が重くなっています。(出典:TIKRの分析記事)

今後の経営方針:2027年6月期は売上650億〜720億ドルを目標

会社は2027年6月期の売上高を650億〜720億ドルと見込んでいます(2026年8月時点の発表、当時のアナリスト予想は約525億ドル)。今回の速報で、まず第1四半期が計画を大きく超えたことになります。

経営面では、10月15日に新しい最高財務責任者(CFO)としてMark Long氏の就任が発表されました。財務の管理体制は、過去に同社が会計面で信頼を問われた経緯もあり、投資家が注目する点です。

また、NVIDIAを中心とした周辺企業も動いています。同日はDell(約+5%)、Vertiv(約+6%)なども上昇し、AIインフラ全体に追い風が吹いている様子でした。

株価の展望:強気材料と弱気材料

【強気材料】

①売上の大幅な上振れ:第1四半期の速報値が従来見通しを約4割上回り、AI需要の強さを裏付けました。
②粗利益率の持ち直し:従来見通しより上がっており、顧客と製品の構成が良くなったと会社は説明しています。
③割安感:予想PERが約7.6倍と低く、利益が見通し通りに出れば見直される余地があります。

【弱気材料】

①利益率の低さ:粗利益率12%台は、売上が増えても利益が伸びにくいことを意味します。アナリストの予想では、今期の売上は約72%増に対して利益は約20%増にとどまります。
②キャッシュフローの悪化:前期のフリーキャッシュフローは約70億ドルのマイナスで、成長のための資金負担が大きい状態です。
③値動きの荒さと信頼性:ベータ値(市場全体に対する値動きの大きさ)は2.01と大きく、会計監査の問題など過去の経緯もあるため、決算内容次第で大きく下げる可能性があります。
④速報値であること:数字は監査前で、11月3日の正式発表で修正される可能性があります。

個人的には、「売上は本物、課題は利益とお金の回り方」と見ています。今回の上昇は材料としては大きいものの、52週高値を再び目指せるかどうかは、粗利益率が安定して改善するか、キャッシュフローが黒字に向かうかにかかっていると思います。値動きが大きい銘柄なので、決算発表の前後は特に慎重に見たいところです。市場では目標株価の平均が42.27ドルと、現在値からの上昇余地は限定的という見方もあります。

まとめ

・10月21日の終値は35.57ドル(+9.55%)。7〜9月期の売上速報が185億〜195億ドルと、従来見通しを大きく上回った
・2026年6月期の売上は391億ドル。2027年6月期は650億〜720億ドルを目指す
・課題は低い粗利益率とマイナスのフリーキャッシュフロー、次の注目は11月3日の決算

引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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