どうも、ひろきちです。
2026年8月10日、楽天グループ(4755)が2026年12月期第2四半期(中間期)決算を発表しました。上期の営業損益がなんと7年ぶりに黒字転換という、長年の楽天ウォッチャーからすると「ついに」と言いたくなるニュースです。楽天モバイルの巨額投資で赤字が続いていたイメージが強い会社だけに、今回の決算は今後の株価を占ううえでも見逃せません。今日は決算の中身と、これから楽天株がどうなりそうかを一緒に見ていきたいと思います。
どんな会社?楽天グループの3つの事業
楽天グループは、大きく分けて3つの事業(セグメント)を持つ会社です。
1つ目は「インターネットサービス」。楽天市場をはじめとするECモール、楽天トラベル、楽天ふるさと納税などが含まれます。楽天経済圏の入り口となる事業です。
2つ目は「フィンテック」。楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天Payなどの金融サービスがここに入ります。実はここ数年、楽天グループ全体の利益を最も支えているのがこのフィンテック事業です。
3つ目は「モバイル」。楽天モバイルが携帯キャリア事業として展開しており、2020年の本格参入以来、巨額の設備投資がかさんで長年赤字の主因になってきました。
2026年1〜6月期の売上収益(セグメント別、社内取引調整前)で見ると、インターネットサービスが最も大きく、僅差でフィンテックが続き、モバイルが約2割弱を占める構成です。
【画像:セグメント別売上収益構成比グラフをここに挿入】
この図を見ると分かる通り、もはや楽天は「ECの会社」というより、フィンテックがインターネットサービスに匹敵する規模まで育っていることが分かります。金融事業の存在感の大きさが、今回の黒字転換を支えた土台と言えそうです。
株価と投資指標:市場の反応は意外にも冷ややか
楽天グループの株価は、決算発表があった2026年8月10日時点で863.3円でした(出典:株予報Pro)。時価総額は約1兆6,409億円です。
投資指標を見ると、PBR(株価純資産倍率。株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを示す指標)は実績で1.65倍。ROE(自己資本利益率。株主のお金をどれだけ効率よく利益に変えられているかを示す指標)はマイナス18.53%となっており、直近まで純利益が赤字続きだったことが数字にはっきり表れています。自己資本比率(総資産に占める自社の純粋な資産の割合。財務の安定度を測る目安)は3.4%と、一般的な事業会社と比べるとかなり低い水準です。なお、PER(株価収益率)や配当利回りの会社予想は、通期の利益予想がまだ確定していないため非開示となっています。
興味深いのは株価の反応です。営業利益が7年ぶりに黒字化するという好決算だったにもかかわらず、決算発表当日の楽天グループの株価は前日比で下落しました(出典:株探)。好材料が出ても株価が上がらない、いわゆる「材料出尽くし」的な反応だったと見られます。
業績チェック:通期は3期連続増収、そして待望の上期黒字
まずは通期の業績推移から見てみましょう。
【画像:業績推移グラフ(2023〜2025年12月期)をここに挿入】
2023年12月期の売上収益は2兆713億円、Non-GAAP営業損益は1,530億円の赤字でした。2024年12月期は売上収益2兆2,792億円に伸びつつも、Non-GAAP営業利益はわずか70億円というギリギリの黒字。そして2025年12月期は売上収益2兆4,966億円(29期連続で過去最高を更新)、Non-GAAP営業利益は1,063億円と、前の期から約15倍に急拡大しました(出典:楽天グループ決算短信)。この2年間の伸び方を見ると、楽天の収益力が着実に改善してきたことが分かります。
そして今回発表された2026年1〜6月期(中間期)の決算です。
【画像:上期業績比較グラフ(2025年vs2026年)をここに挿入】
2026年1〜6月期の売上収益は1兆3,090億円(前年同期比12.9%増)、営業利益は504億円となり、上期ベースでは7年ぶりの黒字となりました(前年同期は66億円の赤字)。税引前利益・当期利益も上期として7年ぶりに黒字化しています。中でも4〜6月期(第2四半期単体)の最終損益は77億円の黒字で、四半期ベースでは6年ぶりの黒字転換です(出典:日本経済新聞、株探)。1〜6月期累計の当期損益はまだ109億円の赤字ですが、前年同期の1,244億円の赤字から大幅に縮小しており、赤字脱却が視野に入ってきた印象です。
セグメント別では、インターネットサービスが4.1%増の6,557億円、フィンテックが25.1%増の5,707億円、モバイルが13.3%増の2,525億円と、全セグメントが増収を確保しました。特にフィンテックの伸びが目立ちます。楽天カードのショッピング取扱高は7.1兆円(前年同期比9.4%増)、楽天銀行の口座数は1,846万口座(同8.1%増)、預金残高は13.3兆円(同13.9%増)に達しており、金融事業の拡大が今回の増益をけん引したことが数字からも読み取れます(出典:楽天グループ決算資料)。
モバイル事業も明るい材料があります。全契約回線数は2026年6月末時点で1,075万回線(前年同期比178万回線増)、うちMNO(自社回線)単体では993万回線(同176万回線増)に到達。1回線あたりの平均収益(ARPU)も2,516円と前年同期から42円上昇しました(出典:楽天モバイル決算資料)。楽天モバイルは2025年度通期でキャリア参入以来初めてのEBITDA黒字化を達成しており、長年の赤字体質からの転換が進んでいます。
今後の経営方針:黒字定着とAIエージェント戦略
楽天グループは2026年12月期の通期業績予想として、売上収益は一桁後半の成長、そしてNon-GAAP営業利益・税引前利益・当期利益のすべてで黒字化を目指す方針を示しています(具体的な金額の会社予想は非開示)。上期時点で営業利益・税引前利益・上期利益がすでに黒字化していることを踏まえると、通期での黒字定着に向けて条件は整いつつあると言えそうです。
モバイル事業については、2026年度に約2,000億円の設備投資を計画しており、5Gエリアの拡大や通信品質の向上に引き続き資金を投じる方針です(出典:BUSINESS NETWORK)。基地局整備という「重い」投資フェーズが一巡しつつある中で、今後はいかに投資を抑えながら契約者数とARPUを伸ばせるかが焦点になりそうです。
もう一つの注目点が、AIエージェントを軸にしたエコシステム戦略です。楽天市場・楽天カード・楽天モバイルなど複数のサービスを横断してAIエージェントを展開し、楽天経済圏全体の利便性と収益性を高めていく方向性が示されています(出典:ライブドアニュース)。ECやフィンテックで蓄積した会員データ・購買データを生かせるかどうかが、この戦略の成否を分けるポイントになりそうです。
財務面では、2026年に償還を迎える社債はすでに全額資金手当て済みで、2021年発行の米ドル建て永久劣後債も2026年4月の初回任意償還日に全額償還が完了しています(出典:楽天グループIR資料)。自己資本比率3.4%という数字が示す通り財務基盤はまだ厚いとは言えませんが、資金繰り面では当面の不安要素を一つずつ解消してきている印象です。
株価の展望:強気材料と弱気材料
まずは強気材料から整理します。
(1) 上期の営業利益・税引前利益・当期利益がそろって7年ぶりに黒字化し、四半期ベースでは6年ぶりの最終黒字も達成した。長年の懸念材料だった「赤字体質」からの転換が数字で裏付けられ始めています。
(2) モバイル事業がEBITDA黒字を実現し、契約回線数も1,075万回線まで積み上がった。設備投資の重い時期を越えつつあり、今後は投資負担が徐々に軽くなっていく可能性があります。
(3) フィンテック事業が25%超の増収と、グループ全体の成長エンジンとして機能している。楽天カード・楽天銀行・楽天証券という顧客基盤の厚い金融サービス群が、今後も安定した収益源になりそうです。
次に弱気材料です。
(1) 上期累計ではまだ109億円の最終赤字が残っており、完全な黒字転換とは言い切れない段階。通期での黒字達成には下期の上乗せが必要です。
(2) 自己資本比率が3.4%と低水準で、財務の安定性という点では見劣りします。有利子負債の規模も大きく、金利動向や資金調達環境の変化には引き続き注意が必要です。
(3) 好決算にもかかわらず決算発表当日に株価が下落しており、市場はすでにある程度の黒字化を織り込み済みだった可能性があります。今後は「黒字化」そのものより「黒字をどこまで拡大できるか」が株価の焦点になりそうです。
個人的には、7年ぶりの上期黒字はポジティブに評価したいところですが、まだ「赤字から抜け出した」段階であり、「稼ぐ力が本格的に強まった」と言い切るにはもう1〜2四半期の確認が必要だと見ています。特に自己資本比率の低さは、金利上昇局面などでは市場から厳しく見られやすい点なので、下期以降も財務指標の改善ペースを注視したいと思います。
まとめ
楽天グループの2026年12月期第2四半期(中間期)決算は、営業利益・税引前利益・当期利益がそろって7年ぶりに黒字転換するという、節目となる内容でした。フィンテック事業の成長とモバイル事業の収益改善が、この黒字転換を支えた二本柱と言えそうです。一方で、累計での赤字はまだ残っており、自己資本比率の低さという課題も見えます。決算発表当日に株価が下落したことからも分かる通り、市場の視線は「黒字化できるか」から「その黒字をどこまで積み上げられるか」に移りつつあるようです。次の決算でも、フィンテックとモバイルの数字を中心にチェックしていきたいと思います。
個人的には、無理に今すぐ結論を出さず、今後1〜2四半期の推移を見ながら判断していきたいと考えています。引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
前回の銘柄分析:【銘柄分析】ソフトバンクグループ(9984)の今後は?純利益5兆円超えの決算とAI全張り戦略を解説
English version is here → [Stock Analysis] Rakuten Group (TYO: 4755) Posts First H1 Operating Profit in 7 Years – What It Means for the Stock
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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