どうも、ひろきちです。
9月24日の米国株式市場は、NYダウが161ドル安の51,349ドルで3日続落、S&P500はほぼ横ばい、ナスダック総合はわずか3ポイント高と「まちまち」の一日でした。米10年債利回りが2007年以来の高水準となる5.19%まで上がる中、メタ(META)がAIエージェントへの期待で4.5%高と相場を支え、一方でオラクル(ORCL)はデータセンター計画の「不可抗力通知」で3.5%安と、AI関連でも明暗が分かれました。
3指数の動き:ダウは3日続落、ナスダックは小幅反発
まずは主要3指数の終値です。
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| NYダウ | 51,349.98 | -161.61 | -0.31% |
| S&P500 | 7,704.13 | -1.90 | -0.02% |
| ナスダック総合 | 26,939.37 | +3.34 | +0.01% |
出典:Yahoo Finance、Fisco(株探掲載)。3指数とも値幅は小さく、上にも下にも決め手がなかった一日だったことが分かります。
取引開始直後は、原油高が長引くことへの警戒と長期金利の上昇を受けて売りが先行しました。その後、「米国とイランがホルムズ海峡の再開を含む段階的な合意を模索している」とロイターが報じると、買い戻しが入って下げ幅を縮めています。
ナスダックがかろうじてプラス圏に戻れたのは、メタやアルファベット(GOOG)といった大型ハイテク株が買われたためです。一方でエヌビディア(NVDA)は0.41%安、マイクロソフト(MSFT)は0.53%安、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も0.33%安と、半導体株はさえませんでした。恐怖指数と呼ばれるVIX(投資家の不安の大きさを示す指数)は15.67と、前日の15.18から少し上がっています。
ひろきちの印象としては、「金利高で上値は重いけれど、中東の和平期待が下支えしている」という綱引きの状態が続いていると感じます。
相場を動かした材料:長期金利5.19%と利上げ観測、中東情勢
米10年債利回りが2007年以来の高水準に
この日一番の重しは金利でした。米10年債利回りは前日比+0.078ポイントの5.192%と、2007年以来の高水準をつけました(TheStreet)。30年債利回りも5.476%と2004年以来の水準です。
背景には、強い経済指標と利上げ観測があります。週間の新規失業保険申請件数は19万7,000件と予想(20.1万件)を下回り、8月の新築住宅販売件数も前月比6.4%増の年率68.4万件と予想を大きく上回りました。前日に発表された9月のPMI(購買担当者景気指数、企業の景況感を示す指標)も5年ぶりの強さだったことから、「景気が強すぎてインフレが収まらない」という見方が広がっています。
FRB(米連邦準備制度理事会)関係者からも、フィラデルフィア連銀のポールソン総裁が「さらに小幅な引き締めが必要になるかもしれない」と発言するなど、年内の追加利上げを意識させるコメントが続きました。9月のFOMCで3年ぶりの利上げに踏み切ったばかりですが、市場はさらにもう一段を織り込み始めている形です。![]()
中東情勢と原油、そして米中首脳会談
原油も高止まりしています。WTI原油先物(11月限)は前日比+2.77ドル(+3.01%)の94.93ドルで取引を終えました(Fisco)。イランが紅海のエネルギー供給を狙った「新たな戦線」を警告したことや、ホルムズ海峡での商船への攻撃が伝わり、一時96.78ドルまで上がっています。
一方で、この日はホワイトハウスで米中首脳会談が行われ、ベッセント財務長官は中国との貿易休戦を2カ月延長することで合意したと明らかにしました。大きなサプライズはなかったものの、米中の対話が続いていることは安心材料と言えそうです。為替はドル円が158円90銭で取引を終え、金利高を背景にドルが買われやすい状態が続いています。
話題になった銘柄:メタ急伸、オラクル・TDシネックス急落
この日の主な話題銘柄の騰落率をグラフにまとめました。

上がった銘柄と下がった銘柄の差が大きく、指数の小さな動きの裏で個別株は大きく動いていたことが分かります。
| 銘柄 | 終値 | 騰落率 | 材料 |
|---|---|---|---|
| メタ(META) | 777.59ドル | +4.50% | AIエージェント「Muse」の収益化計画 |
| オラクル(ORCL) | 139.54ドル | -3.47% | データセンター計画の不可抗力通知 |
| MGMリゾーツ(MGM) | — | -9.98% | 買収提案の撤回 |
| TDシネックス(SNX) | 252.19ドル | -12.40% | 好決算も資金繰りと利益率を嫌気 |
| エバーピュア(P) | — | +18.68% | 中期見通しの公表 |
出典:Fisco、Motley Fool、Benzinga、TheStreet。ここからは、それぞれ「なぜ動いたのか」を見ていきます。
メタ(META):+4.50%、AIエージェントで「稼ぐ道筋」が見えた
メタは777.59ドルと4.50%上昇しました。きっかけは年次イベント「Connect」です。AIエージェント(利用者の代わりに買い物や予約などを実行してくれるAI)の「Muse」を強化し、専用の小型端末「Meta Charm」を年内に発売すると発表しました。ウォルマートやベストバイなど小売大手との提携も明らかにしています。
株価が素直に上がった理由は、ザッカーバーグCEOが「Museは取引から小さな手数料を受け取る」と、収益化の方法をはっきり語ったことです。AIへの巨額投資が「本当に利益になるのか」は市場の最大の関心事ですが、そこに具体的な答えを出した形です。JPモルガンは目標株価を820ドルから920ドルに引き上げ、Museを「ChatGPT以来、最も広く使われる消費者向けAIアプリ」と評価しました。9月8日から約2割上がっているので、短期的な過熱感には注意したいところです。![]()
オラクル(ORCL):-3.47%、「AIの受注」から「本当に作れるか」へ
オラクルは139.54ドルと3.47%下落しました。出来高は5,650万株と、3カ月平均の約1.7倍に膨らんでいます(Motley Fool)。ブルームバーグの報道によると、ニューメキシコ州で建設中の巨大データセンター「Project Jupiter」について、開発会社に不可抗力(フォース・マジュール)通知を出しました。電力を送るパイプラインの工事が2027年2月にずれ込み、2028年までに稼働できない場合の支払いを先送りするための通知です。
オラクル側は「念のための法的措置」という性格が強いのですが、株価が下がったのは、市場の関心が「AIの大型受注」から「予定どおり完成して、お金を回収できるのか」に移っているからです。オラクルはデータセンター投資を多額の借入で進めているため、遅れが出ると財務への不安が一気に強まります。実際、同社の信用リスクを示すCDS(倒産リスクに備える保険料)は過去最高水準になったと報じられています。
MGMリゾーツ(MGM):-9.98%、買収プレミアムが消えた
カジノ大手のMGMリゾーツは9.98%安となりました(TheStreet)。メディア界の大物バリー・ディラー氏が率いるピープル社が、1株48.30ドル、総額約180億ドルの買収提案を撤回したためです。同社は「案件の要素が期待どおりにまとまらなかった」と説明しています。
買収提案が出ている銘柄は、その買収価格を意識して株価が高めに保たれます。提案が消えると、その上乗せ分(買収プレミアム)がはがれ落ちるので、大きく下がるのは自然な反応です。バンク・オブ・アメリカが投資判断を「中立」に引き下げたことも追い打ちになりました。
TDシネックス(SNX):-12.40%、決算は好調なのに急落
IT製品の卸売大手TDシネックスは252.19ドルと12.40%も下がりました。ところが決算自体は絶好調で、調整後EPS(1株あたり利益)は5.68ドルと予想の4.70ドルを21%上回り、売上高も215.6億ドルと予想を14%上回っています。次の四半期の見通しも予想を上回りました(Benzinga)。
それでも売られたのは、中身に不安があったからです。データセンター向けの子会社Hyveが急拡大した結果、在庫などに約10億ドルの資金が吸い取られ、フリーキャッシュフロー(本業で自由に使えるお金)は9億7,560万ドルのマイナスでした。粗利益率も6.61%に低下しています。「売上は伸びているが、儲けと現金が追いついていない」と受け止められた典型的なパターンだと思います。
エバーピュア(P):+18.68%、成長の道筋を数字で示す
中小型株では、エバーピュアが18.68%の急騰となりました(TheStreet)。投資家向け説明会で2028年度の売上高見通しを70億〜73億ドル(39〜45%成長)と示し、「持続的かつ加速的な成長」の道筋を具体的な数字で見せたことが評価されました。金利が高い局面では、将来の成長が不確かな銘柄は売られやすい一方、成長が数字で裏づけられた銘柄には資金が集まりやすい、という最近の相場の特徴がよく出た動きだと感じます。
セクター別・ETFの動き:通信サービスが上昇、公益・素材が下落
米国上場株全体でのセクター別騰落率は次のとおりです(Finviz)。
| セクター | 騰落率 |
|---|---|
| 通信サービス | +1.67% |
| ヘルスケア | +0.63% |
| エネルギー | +0.13% |
| テクノロジー | -0.37% |
| 一般消費財 | -0.45% |
| 生活必需品 | -0.89% |
| 公益 | -1.00% |
| 素材 | -1.04% |
メタとアルファベットを含む通信サービスが上昇をけん引し、金利上昇に弱い公益や生活必需品が売られたことが分かります。
ここで注目したいのは、公益セクターが直近1週間で4.56%も下がっていることです。公益株は配当が高い代わりに、金利が上がると「債券の利回りのほうが魅力的」と見られて売られやすい性質があります。高配当ETFのSPYDやHDV、VYMには公益株や生活必需品株が多く含まれているので、保有している方は金利高の影響を受けやすい局面だと意識しておくとよいと思います。一方、S&P500に連動するVOOや全米株式のVTIはほぼ横ばい、ナスダック100に連動するQQQは大型ハイテク株の明暗が打ち消し合う形となりました。
前日の相場の流れは9月23日の米国株まとめ(NYダウ352ドル安・長期金利5.1%突破)で解説しています。メタについてはメタが6.5%急騰した9月9日の米国株まとめもあわせてどうぞ。
今日の日本株・注目点:金利高と中東情勢で上値は重そう
24日の日経平均は495円高の65,513円で取引を終えましたが、大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は65,490円と、ほぼ横ばいで終わっています。今日の東京市場で注目したいポイントは次の3つです。
①世界的な金利高の影響です。米10年債利回りが5.19%まで上がっており、直近で大きく上がったAI・半導体関連株には利益確定売りが出やすいと思います。日本オラクルなど、米オラクルの関連銘柄の反応も気になるところです。
②9月末の中間配当取りです。配当の権利を得るための買いが入りやすい時期なので、高配当株を中心に相場全体の下支えになると見られています。
③今夜の米国の経済指標です。8月の米耐久財受注と、ミシガン大学の消費者信頼感指数・期待インフレ率が発表されます。インフレ期待が上がると、利上げ観測がさらに強まる可能性があります。また、昨夜の取引終了後にはコストコ(COST)が決算を発表し、通期の売上高が10%増の3,031億ドルとなりました。今夜の株価の反応にも注目です。
なお、今日は韓国・台湾・中国市場が休場のため、アジアからの手がかりが少ない一日になりそうです。
今日も無理せずコツコツいきましょう。いってらっしゃい!
English version is here → [U.S. Market Recap] Sept 24
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
出典:Yahoo Finance、TheStreet、Fisco・MINKABU PRESS(株探掲載)、Reuters、Bloomberg、CNBC、Motley Fool、Benzinga、Invezz、Investrade、Finviz
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