【銘柄分析】ソフトバンクグループ(9984)の今後は?純利益5兆円超えの決算とAI全張り戦略を解説

投資のいろは

どうも、ひろきちです。

今回取り上げるのは、ソフトバンクグループ(9984)です。2026年3月期は日本企業として初めて単年度の連結純利益が5兆円を超えるという、かなり異例の決算になりました。さらに直近の2026年8月6日には2027年3月期第1四半期決算も発表され、株価も大きく動いています。OpenAIやArmといったAIの主役級企業を抱え、孫正義さんが「AIに全張り」する経営を進めているこの会社を、数字と経営方針の両面から見ていきたいと思います。

ソフトバンクグループとはどんな会社?

ソフトバンクグループ株式会社(SBG)は、携帯電話事業などを行う事業会社ではなく、さまざまな企業に出資して育てる「投資持株会社」です。祖業である国内通信事業は、上場子会社のソフトバンク株式会社(証券コード9434)として切り離されており、SBG本体は投資会社として運営されています。

代表的な保有資産は、2016年に買収した英国の半導体設計会社Arm(アーム)、複数のファンドで運用する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」、そして2025年度第3四半期に新設された「AIコンピューティング事業」(Arm・Graphcore・Ampereなどを集約したセグメント)です。2026年に入ってからは、対話AI「ChatGPT」を開発する米OpenAIへの大型出資が、業績・株価の両方で主役になっています。

会長兼社長は創業者の孫正義氏で、筆頭株主でもあります(保有比率は約3割)。「ASI(Artificial Super Intelligence、人智を超えるAI)」の実現を掲げ、通信会社から投資会社、そして今はAI企業へと姿を変えつつある会社、というのがひろきちの理解です。

株価と投資指標

ソフトバンクグループ株価の推移(過去1年・月足終値)

この1年だけを見ても、株価は3,555円から7,491円まで倍以上に動いており、値動きの荒さがひと目で分かります。

2026年8月6日終値は5,695円(前日比-263円、-4.41%)でした。年初来では、6月2日につけた高値9,074円から、3月23日の安値3,365円まで、半年ちょっとの間に3倍近く動くという、かなり荒い値動きになっています。時価総額は32兆5,290億円です。

投資指標では、PBR(株価純資産倍率、株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを示す指標)は1.76倍、配当利回り(会社予想)は0.19%となっています。PER(株価収益率、株価が1株あたり利益の何倍かを示す割安さの目安)は、会社が業績予想を開示していないため算出されていませんが、直近実績ベースでは7倍前後です。1株配当は2025年3月期・2026年3月期とも11円で据え置かれており、2027年3月期も11円が予定されています。

なお、SBGは2026年1月1日付で普通株式を1株→4株に分割しています。この記事の株価やEPS(1株あたり利益)はすべて分割後の基準で統一していますが、古いチャートを見るときは注意してください。

もうひとつ押さえておきたいのが「NAV(時価純資産価値)ディスカウント」です。SBGは保有資産を時価評価した純資産額(NAV)を開示しており、2025年9月末時点でNAVは約33.3兆円でした。これに対して2025年12月22日時点の時価総額は25.4兆円にとどまり、実質PBRは0.76倍。つまり「資産価値より安く放置されている」状態が続いていました。2026年5月以降の株価急騰で、このディスカウントは大きく縮小したとみられています。

業績チェック

ソフトバンクグループの業績推移(売上高・純利益)

赤字が3期続いた後、2025年3月期に黒字転換し、2026年3月期にかけて純利益が一気に跳ね上がっている様子がひと目で分かります。

上のグラフを見ると分かる通り、SBGは2022年3月期から2024年3月期まで3期連続の最終赤字でした。ビジョンファンドが出資した投資先の株価下落などが響いた形です。2025年3月期に黒字転換し、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)は売上高7兆7,986億円(前期比+7.7%)、純利益(親会社所有者に帰属)5兆22億円(前期比4.3倍)と、過去最高益を大幅に更新しました。日本企業で単年度の連結純利益が5兆円を超えたのは、これが初めてです。

直近の四半期決算も見ておきます。2026年8月6日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)は、売上高2兆195億円(前年同期比+10.9%)、税引前利益5,891億円(同-14.6%)、親会社所有者に帰属する四半期利益3,473億円(同-17.7%)でした。半導体大手インテルの株式評価益1兆3,329億円を含む投資利益1兆8,594億円を計上した一方、前年同期の突出した利益からの反動もあり、前年同期比では減益となっています。

主要な業績指標を表にまとめました。

決算期売上高純利益(親会社帰属)1株益(EPS)1株配当
2022年3月期6兆2,215億円▲1兆7,080億円▲249.86円11円
2023年3月期6兆5,704億円▲9,701億円▲157.24円11円
2024年3月期6兆7,565億円▲2,276億円▲38.85円11円
2025年3月期7兆2,437億円1兆1,533億円198.44円11円
2026年3月期7兆7,986億円5兆22億円876.78円11円

出典:決算短信(ソフトバンクグループ株式会社IR)、株探決算データより、ひろきち作成

今後の経営方針

孫正義氏が繰り返し語っているのが「ASI(人智を超えるAI)」の実現です。2026年6月24日の定時株主総会では、「AIモデル」「半導体」「AIインフラ」「ロボティクス」の4領域を、オセロゲームの盤面の四隅になぞらえて「オセロの四隅」と表現し、この4領域を押さえる企業群戦略で世界一のAI企業グループを目指す方針を示しました。

象徴的なのが、OpenAI・オラクルと組んで米国に大規模なAI向けデータセンター網を構築する「スターゲート(Stargate)」計画です。OpenAIへの出資については、2026年3月に発表された大型資金調達に合わせて追加300億ドルを出資し、完了すれば累計出資額は646億ドル、持分比率は約13%になると報じられています。直近の2027年3月期第1四半期には、さらに100億ドルを追加出資し、四半期末時点の累計投資額は446億ドルに達しました。

半導体分野では、買収済みのArmに加えて、Graphcore・Ampereなどをまとめた「AIコンピューティング事業」を新設し、AI向け半導体・データセンター基盤を強化する体制を整えています。

株主還元については、自社株買いを機動的に実施しており(2025年は3,302億円規模)、配当は1株11円を据え置いています。会社は2027年3月期から2031年3月期の中期経営計画において、利益成長に応じた段階的な増配を目指す方針を示していますが、直近の配当予想自体は11円で変わっていません。

株価の展望:強気材料と弱気材料

ここからは、株価を考えるうえでの強気材料と弱気材料を、それぞれ整理してみます。

強気材料
(1) OpenAI・Armなど、生成AIブームの中核を担う企業を実質的に押さえている、他に類を見ないポートフォリオです。AIへの投資需要が伸び続ける限り、保有資産の評価額拡大が期待できます。
(2) NAV(時価純資産)に対する株価のディスカウントは、2025年に55〜60%程度まで拡大していましたが、2026年に入って急速に縮小しました。市場がようやくAI関連資産の価値を織り込み始めた、という見方があります。
(3) 2026年8月4日時点のアナリスト目標株価コンセンサスは平均7,651円で、レーティングは「買い」が優勢です。当時の株価に対して上値余地があるとの評価が多くなっています。

弱気材料
(1) LTV(保有資産の評価額に対する有利子負債の比率)は2025年12月時点で20.6%まで上昇しており、OpenAIへの追加出資などにより2026年中に25%以上に達する可能性が指摘されています。レバレッジを高めた「AI全張り」の経営は、保有資産の評価額が下落した局面で財務的な逆回転リスクを伴います。
(2) 格付け会社のS&Pは2026年3月、SBGの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げました。巨額出資による保有資産の流動性低下や、財務的な余力の減少を懸念材料として挙げています。
(3) 2026年3月期の純利益5兆円のうち、相当部分がOpenAIなど保有株式の評価益(含み益)によるもので、すべてが現金化された利益ではありません。直近の2027年3月期第1四半期も前年同期比で減益となっており、評価益に業績が左右されやすい構造だといえます。

強気材料弱気材料
OpenAI・Armなど生成AIの中核企業を保有LTV上昇でレバレッジ経営のリスクが増大
NAVディスカウントが急速に縮小S&Pが格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ
アナリスト目標株価は平均7,651円で「買い」優勢純利益の多くが評価益で業績の振れが大きい

個人的には、ソフトバンクグループは「配当や割安さで持つ株」というより、「孫正義さんのAIへの賭けそのものに投資する株」だと思っています。年初来高値から半年足らずで6割以上下落する場面があったことからも分かる通り、短期的な値動きを読むのはかなり難しい銘柄だと感じます。保有を検討するなら、決算の中身が評価益にどれだけ支えられているかまで確認したうえで、値動きの大きさを受け入れられる範囲で、というのがひろきちのスタンスです。

まとめ

ソフトバンクグループは2026年3月期に純利益5兆円という、日本企業として異例の決算を出し、OpenAIやArmを軸としたAI企業への転換をさらに進めています。一方で株価は2026年に入ってから乱高下しており、LTVの上昇や格付け見通しの引き下げなど、レバレッジ経営ならではのリスクも抱えています。強気材料・弱気材料の両方を踏まえたうえで、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!

前回の銘柄分析:【銘柄分析】三井物産(8031)の今後は?1Q純利益53%増の2,941億円と株価4,700円台の実力を解説

関連記事:【銘柄分析】ソフトバンク(9434)の今後は?営業利益1兆円超えの決算と株価230円台、新中計「AI戦略」を解説

English version is here → [Stock Analysis] SoftBank Group (TYO: 9984): Record ¥5 Trillion Profit — What’s Next for Son’s AI Bet?

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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