どうも、ひろきちです。
日本時間8月12日夜、CPI発表前の市場の様子をまとめた前回の記事でも予告していた、注目の米7月消費者物価指数(CPI)が発表されました。結果は市場予想通りとなり、株式市場はひとまず安心感から上昇しました。ただ「これで利下げに向かうんだな」と思った方、実はちょっと違います。今のFRB(米連邦準備制度理事会)は、利下げどころか「利上げ」の選択肢すらまだ完全には捨てていないんです。今回はCPIの中身と、その後の市場の動きを整理していきます。
7月CPIは総合+3.4%・コア+2.5%で市場予想と一致
米労働省労働統計局(BLS)が発表した7月のCPIは、季節調整後の前月比+0.1%、前年同月比+3.4%となりました。6月の+3.5%からわずかに鈍化した形です。食品・エネルギーを除いたコアCPI(値動きの大きい品目を除いた指数)は前月比+0.2%、前年比+2.5%で、こちらも6月の+2.6%から低下しています。
内訳を見ると、食品が前月比+0.1%、エネルギーが+0.3%、住居費(シェルター)が+0.1%という結果でした。いずれも極端な動きはなく、「サプライズなし」の内容だったと言えます(出典:米労働省労働統計局[BLS] 2026年7月CPIレポート)。
ここ数カ月の流れを数字で振り返ると、総合CPIの前年比は3月+3.3%→4月+3.8%→5月+4.2%→6月+3.5%→7月+3.4%と推移しています。5月の+4.2%は約3年ぶりの高水準でしたから、そこから2カ月連続で鈍化した今回の結果は「ピークアウトしつつある」という印象を市場に与えました。一方のコアCPIも3月・4月の+2.8%から7月は+2.5%まで、じわじわと下がってきています。
株式市場は「無風」を好感、S&P500とナスダックが上昇
CPIが事前予想通りだったことを受け、米国株市場はほっと一息といった様子で上昇しました。
S&P500は前日比+0.26%の7,748.50、ナスダック総合は+0.54%の26,588.49と、いずれも上昇しました。特にAI関連銘柄が強く、CoreWeaveやスーパー・マイクロ・コンピューターといった半導体・AIインフラ関連株が指数を押し上げています。一方でNYダウは-0.04%の53,770.27とほぼ横ばいでした。
ひろきち個人としては、「無風のCPI」がここまで素直に好感されたのは、裏を返せば市場がそれだけインフレ再加速を警戒していた証拠だと思っています。逆に言えば、次にサプライズが出たときの反動は大きくなりやすい局面ということでもあるので、ここで気を緩めすぎないようにしたいところです。
なぜ「利下げ」ではなく「利上げ」の話なのか——ウォーシュ議長のタカ派姿勢
ここが今回一番お伝えしたいポイントです。2025年までの相場では「そろそろ利下げでは」という空気が主流でしたが、2026年に入ってから様子が一変しています。
背景にあるのは、今年2月に就任した新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏の姿勢です(就任の経緯はこちらの解説記事「FRBの顔が変わった!パウエル前議長の功績と新議長ウォーシュ氏が目指す金融政策」で詳しく書きました)。ウォーシュ議長は就任後最初のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置いた一方、参加者18人のうち9人が「2026年中の利上げ」を予想するという、かなりタカ派的なサプライズを見せました。背景には、関税(輸入品にかかる税金)のコスト転嫁が進み、3月から5月にかけてインフレ率が急上昇したことがあります。
今回の7月CPIが市場予想通りだったことで、CME FedWatch(金利先物市場から算出される利上げ・利下げの確率指標)が示す9月FOMCでの利上げ確率は、発表前の約48%から発表後は約38%まで低下しました。つまり「利上げの可能性が消えた」わけではなく、「やや後退した」というのが正確なところです。この確率は今後発表されるデータ次第でまた大きく動く可能性があるので、一喜一憂しすぎないことが大切だと思います。
為替はドル円159円台でもみ合い、160円が視野に
為替市場では、ドル円がCPI発表前後で158.70円〜159.20円のレンジで激しく上下しました。発表直後こそ振れましたが、結果が予想通りだったこともあり、最終的には発表前とほぼ同水準の158円台後半で落ち着いています。市場では「次は160円が視野に入るのでは」という声も出ており、日米の金利差を意識した円安地合いは当面続きそうです。
今後の注目点:9月FOMCとジャクソンホール会議
ここから9月にかけては、以下のイベントが相場を左右しそうです。
①今週発表される7月PPI(生産者物価指数)・7月小売売上高:企業間の価格転嫁の勢いと個人消費の強さを見る材料になります。
②8月27〜29日のジャクソンホール会議:世界の中央銀行総裁が集まる経済シンポジウムで、ウォーシュ議長の講演内容が今後の政策姿勢を占う手がかりになりそうです。
③9月15〜16日のFOMC:政策金利の発表に加え、参加者の金利見通しを示す「ドットプロット」も同時公表されるため、9月は特に振れ幅が大きくなりやすい会合です。
個人投資家としては、短期的な指標一つひとつに振り回されるより、「インフレはピークアウトしつつあるものの、まだFRBの目標である2%には遠い」という大きな流れを頭に入れておくのが良いと思います。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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