どうも、ひろきちです。
今回取り上げるのは、外食チェーンの雄「サイゼリヤ」(証券コード:7581)です。2026年7月16日に発表された第3四半期決算をきっかけに株価がストップ高となり、翌17日には7,600円まで買われて上場来高値を更新しました。「値上げしないサイゼリヤ」が約6年ぶりに価格改定を検討していると表明したことが引き金です。今、何が起きているのか、そしてこれから株価はどうなりそうか、ひろきちなりに整理してみたいと思います。
どんな会社?世界一「安い」を追求するイタリアンチェーン
サイゼリヤは、「ミラノ風ドリア」や「ハンバーグ」などの看板メニューを驚くほどの安さで提供するイタリアンレストランチェーンです。強みは、食材の生産・加工から店舗までを自社グループで垂直統合していること。原料の買い付けから加工、物流までを自前でまかなうことで、コストを抑えながら品質を保っています。
近年は海外展開が急拡大しており、2026年5月末時点で国内1,063店舗・海外675店舗の合計1,738店舗を展開しています。特に中国では、2026年1月に広州で新工場が完成し、投資額は50億円を超える見込みです。今後10年で中国の店舗数を現在の約2倍にあたる1,000店規模まで拡大する方針を掲げており、実は2024年8月期の連結営業利益のうち、中国子会社が6割近くを稼ぐ「稼ぎ頭」になっています。
株価と投資指標:ストップ高からの急騰で上場来高値を更新
サイゼリヤの株価は、2026年7月17日終値で7,600円(前日比+820円、+12.09%)となりました。前日16日には、第3四半期決算の好調な内容と値上げ検討の表明を受けて、制限値幅の上限(ストップ高)まで買われる場面がありました。

この図から分かる通り、株価は2月の年初来高値7,220円から5月には年初来安値4,955円まで一度大きく下落したあと、7月にかけてわずか2カ月半ほどで5割以上急反発しています。値上げ観測と好決算が短期間で株価を押し上げた形です。
投資指標を見ると、会社予想EPS(1株あたり利益。1株が生み出す利益の大きさを示す指標)240.19円に対して株価7,600円で計算するとPER(株価収益率。株価が1株利益の何倍まで買われているかを示す割安さの目安)は約31.6倍です。年初にかけての水準(20倍台前半)と比べるとかなり切り上がっており、好材料をすでに織り込みつつある株価とも言えそうです。PBR(株価純資産倍率。株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標)は実績ベースのBPS(1株あたり純資産)2,562.65円から計算すると約2.97倍です。発行済株式数52,272,342株(2026年6月12日時点)に現在の株価をかけると、時価総額はおよそ3,970億円という計算になります。
業績チェック:3年連続の増収増益、直近も過去最高益を更新
サイゼリヤの業績は、コロナ禍で赤字に沈んだ2021年8月期を底に、右肩上がりの回復を続けています。決算短信(会社が発表する決算の要約資料)ベースで見ると、次のような推移です。

この図から、2021年8月期の赤字を底に、売上高・営業利益とも一貫して右肩上がりで拡大してきたことが読み取れます。売上高は2021年8月期の1,265億円から、2025年8月期には2,567億円まで拡大し、2026年8月期は会社予想で2,970億円(前期比15.7%増)を見込みます。営業利益も2021年8月期の赤字(マイナス23億円)から黒字転換し、2025年8月期には155億円、2026年8月期予想は182億円(同17.4%増)です。
直近の2026年8月期第3四半期累計(2025年9月〜2026年5月の9カ月間)では、売上高2,213億円(前年同期比17.5%増)、営業利益133億円(同25.6%増)、純利益87億円(同12%増)と、四半期として過去最高益を更新しました。既存店の客数・客単価の伸びに加え、QR注文の全店導入によるDX(デジタル技術を使った業務効率化)の効果も出ているようです。この好決算を受けて、2026年8月期の期末配当予想も1株30円から35円へ増額修正されています。
今後の経営方針:約6年ぶりの値上げ検討と中国での大量出店
今回の株価急騰の直接のきっかけは、松谷秀治社長が決算会見で「消費者物価指数(CPI)の動向を見ながら、9月以降の価格改定を視野に入れている」と発言したことです。サイゼリヤの看板メニューは2020年7月の端数調整(299円→300円)以来、実質的にはほぼ据え置かれてきたため、実現すれば約6年ぶりの本格的な値上げとなります。全国一律価格から立地別の価格設定への移行も検討されているようです。
背景にあるのは、米や鶏肉などの食材価格の上昇や、円安によるコスト増です。「値上げしない」ことをブランドにしてきた会社だけに、方針転換は簡単な決断ではなかったはずですが、それだけコスト圧力が強まっているとも読めます。
海外では、中国事業のさらなる拡大が成長ドライバーです。中国人スタッフと日本人スタッフが共同で「麻辣(マーラー)パスタ」のような現地向けメニューを開発するなど、現地化を進めながら出店を加速しています。株主還元については、2023年8月末で株主優待を廃止し、配当による利益還元に一本化する方針です。
株価の展望:強気材料と弱気材料
強気材料としては、次の点が挙げられます。
①約6年ぶりの値上げが実現すれば、これまで価格据え置きで圧迫されてきた利益率の改善が期待できます。
②中国事業が急拡大しており、すでに連結営業利益の6割近くを稼ぐ稼ぎ頭に育っています。10年で1,000店規模という目標が計画通り進めば、増益基調を後押しするでしょう。
③既存店の客数・客単価が伸びているうえ、QR注文の全店導入などDXによる効率化が進んでいます。
一方で、弱気材料も無視できません。
①「安さ」がサイゼリヤの最大の強みだっただけに、値上げによって客離れが起きるリスクがあります。
②米・鶏肉などの食材価格や、エネルギー価格の上昇、円安によるコスト増は今後も続く可能性があり、値上げをしても利益率改善が追いつかないケースも考えられます。
③急騰後のPERは約31倍と、年初来では高めの水準まで来ています。すでに好材料の多くが株価に織り込まれているという見方もでき、今後の決算内容が期待に届かなければ、反動で株価が調整する可能性もあります。
④海外事業は出店に伴う立ち上げコストの負担があり、アジア・豪州セグメントでは売上が伸びても営業利益が前年を下回る場面も出ています。
個人的には、値上げと中国事業の拡大という2つの成長ストーリーは魅力的だと感じる一方、短期間で株価が5割以上動いた後だけに、当面は値上げの具体的な内容(幅・時期・対象メニュー)と、それに対する客数の反応を見極めたいところです。飛びつくよりも、次の決算や値上げ発表のタイミングでの反応を確認してからでも遅くないのではないかと見ています。
まとめ
サイゼリヤは、コロナ禍からの回復を経て3年連続の増収増益を達成し、直近の決算でも過去最高益を更新するなど、業績自体は非常に好調です。そこに「約6年ぶりの値上げ検討」という新しい材料が加わり、株価は短期間で大きく動きました。中国を中心とした海外展開という中長期の成長ストーリーもあり、引き続き注目していきたい銘柄だと思います。個別銘柄への投資はハイリスク・ハイリターンでもあるので、ご自身でもしっかり情報収集したうえで、無理のない範囲で判断していただければと思います。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
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English version is here → [Stock Analysis] Saizeriya (7581): Shares Hit 7,600 Yen After Limit-Up
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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