どうも、ひろきちです。
10月8日の東京株式市場は、日経平均が前日比993円60銭安の69,042円11銭(-1.42%)と、全体としては軟調な1日でした。ところがその裏で、サイバーセキュリティ・情報セキュリティ関連の中小型株には資金が集中し、軒並み急騰。FFRIセキュリティ(3692)、カウリス(153A)、TWOSTONE&Sons(7352)の3銘柄は、そろってストップ高(S高)で取引を終えました。今回は、この3銘柄がなぜ買われたのかを材料ごとに整理していきます。
※ストップ高とは、1日の値幅制限の上限まで株価が上昇することです。
日経平均は1.42%安でも、サイバー関連株だけは別世界
まず全体像から。日経平均は993円60銭安の69,042円11銭で引けました。一方で、株探(かぶたん)によるとこの日のストップ高は16銘柄、ストップ安は2銘柄。相場全体が冴えない中で、買いが入った銘柄の多くがサイバーセキュリティ関連でした。
サイバーセキュリティクラウド(4493)がストップ高の水準で買い気配に張り付いたほか、セキュアヴェイル(3042)、ブロードバンドセキュリティ(4398)、サイバーソリューションズ(436A)もストップ高。大手のトレンドマイクロ(4704)も連日で年初来高値を更新しています。個人投資家を中心に、中小型の関連銘柄を探す動きがはっきりしていました。
今回取り上げる3銘柄の値動きを、図にまとめました。青が10月8日1日の上昇率、オレンジが10月2日の終値からの上昇率です。
3銘柄の上昇率(青:10月8日1日分/オレンジ:10月2日終値比)
出典:株探(かぶたん)の日足データ(終値ベース)をもとにひろきちが算出
この図から読み取れるのは、3銘柄とも10月8日だけでなく、ここ1週間の積み上がりも大きいこと。特にカウリスは10月2日の終値1,544円から約79%上昇していて、勢いが際立っています。一方TWOSTONE&Sonsは、この日の急反発の直前に大きく売られていたので、少し性格が違います。この点は後ほど説明しますね。
急騰の背景は「情報漏えいの連鎖」と「能動的サイバー防御」
では、なぜ今サイバーセキュリティ株なのか。株探ニュースによると、企業への不正アクセスが連鎖的に続いていることが大きな理由です。
・10月5日:大和証券が不正アクセスで個人情報22万件が漏えいしたと開示
・同じ5日:「焼肉きんぐ」を運営する物語コーポレーション(3097)も情報漏えいを発表。10月3日時点でアプリ登録者の9割超にあたる約1078万件の漏えいを確認
・10月1日:「能動的サイバー防御」関連法が施行
「能動的サイバー防御」とは、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐため、政府が平時から通信情報を監視し、攻撃元への対処も行えるようにする仕組みのことです。施行のタイミングで大型の漏えいが重なり、サイバー攻撃の深刻さが株式市場でも強く意識されました。
さらに10月8日には、政府が不正アクセスによる個人情報漏えいが全国で相次いでいることを受け、関係省庁会議を午後に開くと報じられました。警察庁の長官も定例会見で、事案の背景や相互の関連性は現時点で明らかではないものの、捜査を進めて実態解明を進める必要があると述べています。こうしたニュースが「対策需要が増えるはず」という期待につながったようです。
加えて、AIの進化を背景にしたサイバー攻撃が海外でも相次いでいます。警察庁の統計では、今年上半期のランサムウェア(身代金を要求するウイルス)の被害報告は123件と、半期ベースで過去最多でした。テーマとしては、一過性ではなく息の長い分野だと私は見ています。
この流れについては、10月7日に書いた【解説】サイバーセキュリティ株が急騰!BBSecは2日連続S高、ジィ・シィ企画・ゼンムテックも動いた理由を整理もあわせてどうぞ。
FFRIセキュリティ(3692):国産セキュリティの中核にGMOの思惑
FFRIセキュリティは、純国産のセキュリティ製品「yarai(ヤライ)」や、官公庁向けの調査・研究・分析・教育サービスなどを手がける会社です。この日は始値9,100円からぐんぐん上げ、9,960円で終了。前日比+1,500円(+17.73%)のストップ高で、売買高は約233万株でした。
注目点は、すでに別の材料でも火がついていたことです。GMOインターネットグループ(9449)が、8月26日付の大量保有報告書でFFRI株を5.03%取得したことが判明し、8月27日にストップ高に。保有目的は「純投資」とされていますが、9月24日には保有割合が増加したとの変更報告書も出ており、買い集めの思惑が続いています。そこに今回のサイバー攻撃ニュースが重なった形です。
ただ、冷静に見ておきたい数字もあります。株探のデータでは、株価は大きく上がったことでPER(株価収益率)は69.5倍、PBR(株価純資産倍率)は20.97倍まで切り上がりました。時価総額は816億円。年初来高値は1月15日の10,430円で、まだ超えていません。次の決算発表は11月12日の予定です。テーマと需給で買われている面が強く、業績の裏付けがどこまで追いつくかが今後のポイントだと思います。
カウリス(153A):不正アクセス検知の専業が4日続伸
カウリスは、金融機関向けに不正アクセス検知サービス「Fraud Alert(フロードアラート)」を提供している会社です。金融庁のマネーロンダリング(資金洗浄)対策のガイドラインに対応している点が強みで、電力契約情報を使った本人確認サービスなど新規事業も手がけています。
この日は2,767円(+500円、+22.06%)でストップ高。10月5日の+10.95%、6日の+23.35%、7日の+7.29%に続く4営業日連続の上昇です。10月7日には売買高が約623万株に急増し、年初来高値を更新しました。10月2日の終値1,544円からだと約79%の上昇になります。
業績面では、8月の上期決算発表のタイミングで通期予想を上方修正し、2026年12月期は営業利益が30%増益で過去最高を更新する見通しとしています。「証券口座の乗っ取り」のような被害が続く中で、まさに本業のど真ん中のテーマが追い風になっている形です。
一方で、PERは51.1倍、PBRは11.62倍と割高感も出ています。信用買い残が売り残の7.83倍と、買いに偏っている点も、値動きが荒くなりやすい要因です。決算発表は11月13日の予定です。
TWOSTONE&Sons(7352):悪決算からの急反発、材料はLayer8との提携
3銘柄の中で少し毛色が違うのが、TWOSTONE&Sonsです。同社はフリーランスのITエンジニアと企業をつなぐ事業などを手がけ、M&Aでグループを拡大してきた会社。ここ数日は、むしろ悪い流れでした。
・10月6日:2026年8月期の経常利益を前期比で36%下方修正(計画下振れで着地)
・10月7日:上場来安値を更新(終値282円、安値273円)
ところが10月8日朝、グループのTWOSTONE Syncが、AIセキュリティ技術を開発するスタートアップのLayer8(東京都港区)と業務提携し、サイバーセキュリティ領域に参入すると発表。第1弾として、Webアプリケーション・API向けのペネトレーションテスト(攻撃者の視点でシステムへの侵入を試み、実際に悪用できる弱点を洗い出す検証)の提供を始めるとしています。
これが材料視され、株価は282円から362円(+80円、+28.37%)へ急反発してストップ高。売買高は約297万株と、前日の約35万株から大きく膨らみました。ただ、事業としてはまだ参入発表の段階です。決算を受けた下方修正の影響や、サイバー事業が業績にどれだけ貢献するかは、これから見ていく必要があります。次の決算発表は10月15日の予定です。
ひろきちの見方と、今後の注目ポイント
今回の急騰を見て、私は「テーマ買い」と「材料買い」が重なった1日だと感じました。市場全体が下がる中で資金が集まったのは、それだけ「サイバー攻撃の被害が現実の問題になっている」と受け止められたからでしょう。ただ、短期間で株価が大きく動いた銘柄ほど、反動も大きくなりやすいのも事実です。
今後の注目ポイントは次の3つです。
(1)関係省庁会議や警察の捜査で、どんな対策が打ち出されるか。政策が具体化すれば、テーマの継続性が見えてきます。
(2)情報漏えいの新たな発覚が続くかどうか。ニュースが途切れると、買いの勢いが弱まることもあります。
(3)各社の決算で、実際に売上や利益へ数字が出てくるか。TWOSTONE&Sonsは10月15日、FFRIは11月12日、カウリスは11月13日の発表予定です。
この記事の株価や出来高などの数値は、いずれも株探(かぶたん)の10月8日時点のデータに基づいています。参照した情報は、株探ニュース(10月6日)、株探ニュース(10月8日)、株探ニュース:TWOSTONE&Sons、株探トップ特集(10月3日)です。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
English version is here →[Recap] Cybersecurity Stocks Surge: FFRI, Caulis and TWOSTONE&Sons Hit Limit-Up as the Nikkei Falls 1.42%
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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