【8/28市況】新FRB議長ウォーシュ氏がタカ派発言、9月利上げ確率35%→59%に急上昇

投資のいろは

どうも、ひろきちです。

今日は8月28日(金)のニューヨーク市場をお届けします。この日の主役は株価そのものよりも「新しいFRB議長の発言」でした。今年5月に就任したケビン・ウォーシュ議長にとって初めてとなるジャクソンホール講演が、市場の金利観測を1日でガラッと変えてしまうインパクトのある内容だったからです。数字を追いながら、ひろきちなりの見方も交えて振り返っていきます。

指数は反落、ナスダックは26,450ドルまで下落

8月28日(金)のNY市場は、S&P500が前日比-0.12%の7,722.06ポイント、ダウ平均が+0.05%の53,598.14ポイントとほぼ横ばい、ナスダック総合は-0.34%の26,450.59ポイントで取引を終えました。前日までエヌビディアの好決算(詳しくは前回の記事で振り返っています)を受けて上昇していた反動もあり、週の最後は利益確定売りが優勢になった格好です。

グラフにすると、下落幅そのものはごく小幅であることがわかります。

8月28日NY市場の主要指数騰落率(S&P500・ダウ平均・ナスダック総合)

この図から分かる通り、パニック的な売りが出たわけではなく、ダウ平均に至ってはわずかにプラスで着地しています。とはいえ、この日の本当の主役は指数の値動きよりも、この後お伝えする金利市場の反応でした。

新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏、初のジャクソンホール講演でインフレに警鐘

今年5月22日にジェローム・パウエル前議長の後任としてFRB議長に就任したケビン・ウォーシュ氏にとって、8月28日のジャクソンホール講演は議長として初めての大舞台でした。ウォーシュ氏は「インフレはいまも2%の物価目標を上回って推移している」と述べ、直近のPCE(個人消費支出)物価指数は前年同月比+3.7%、変動の大きい項目を除くコア指数も+3.3%だったことに言及しました。

「Fedが今最も重視すべきは物価だ」とし、インフレが目標に向かって「明確に」かつ「十分なペースで」動いていると確信できなければ「まだやるべき仕事がある」と発言。一方で「経済全体のパフォーマンスは、印象的なことに強さを増しているようだ」とも述べ、景気そのものは底堅いとの認識も示しました。

前任のパウエル氏が利下げに前向きな姿勢を強めていたのとは対照的に、ウォーシュ新議長は就任後初めての大舞台で「インフレ最優先」の姿勢を鮮明にした形です。市場はこの発言を「短期的にはややタカ派的」と受け止めました。トップが交代すると相場の前提そのものが変わることがある、というのを改めて感じさせる一日でした。

ウォーシュ氏は2006年から2011年までFRB理事を務めた経歴を持ち、金融危機対応の実務経験があることで知られています。就任からまだ3カ月ほどということもあり、市場もまだ「この議長がどんな人物か」を探っている段階です。今回の講演は、その人物像を占う意味でも注目度が高いイベントでした。

利上げ確率が35%→59%に急上昇、金利市場は「ベア・フラットニング」

講演を受けて大きく動いたのは、株価よりも金利でした。2年物米国債利回りは前日から大きく上昇した一方、30年債など超長期ゾーンの上昇は抑えられました。短期金利の上昇が長期金利の上昇より大きくなるこうした値動きは「ベア・フラットニング」と呼ばれ、市場が利上げの可能性をより強く織り込み始めたサインとされています。

グラフでも、この急変ぶりがはっきりと確認できます。

9月FOMCで0.25%利上げが実施される市場織り込み確率(講演前後の比較)

利上げというと身構えてしまいますが、そもそもの目的はインフレを抑えることで、長い目で見れば通貨や資産の価値を守ることにもつながります。短期的な株価の上下だけでなく、「なぜ金利が動いているのか」という背景まで押さえておくと、ニュースの見え方が変わってくると思います。

個別ではペイパルが15%安、アフォームは13%高

金利以外にも、この日は個別材料で大きく動いた銘柄がありました。決済大手ペイパル(PayPal)は15%安。買収に興味を示していたStripe・Advent Internationalの連合が、500億ドル超の買収提案を撤回したことが嫌気されました。買収期待が株価を下支えしていた分、その剥落インパクトは大きかったようです。

対照的に、後払い決済(BNPL)大手アフォーム(Affirm)は+13%高。CEOのマックス・レブチン氏が「過去最高益の四半期」と語った決算内容に加え、Shopifyオーストラリアとの独占提携も好感されました。半導体大手マーベル・テクノロジー(Marvell)も決算を受けて7%下落しており、決算シーズンらしく個別株の値動きが目立つ一日でした。同じ「決算」でも受け止められ方が真逆になるのは、株式投資の面白さでもあり難しさでもあると感じます。

ペイパルとアフォームはどちらも決済・BNPL業界のプレイヤーですが、明暗が分かれた形です。ペイパルは「買収されるかもしれない」という思惑込みで買われていた分、その剥落で株価が大きく調整した一方、アフォームは決算という実力そのもので評価された格好です。M&A思惑先行の銘柄は、話が流れたときの反動も大きくなりやすい、という典型例だったように思います。決算内容そのものに加えて、金利上昇局面では思惑先行の銘柄ほど値動きが荒くなりやすいという点も、頭の片隅に入れておきたいところです。

今後の注目ポイント:9月FOMCとインフレ指標

来週にかけては、以下の点に注目しています。

(1)9月15〜16日のFOMCに向けて、雇用統計やCPI(消費者物価指数)など重要な経済指標が相次いで発表されます。利上げ確率が五分五分まで上昇した今、良い数字が出れば「利上げ確実」、悪い数字が出れば「やっぱり据え置き」と、指標一つひとつへの市場の反応がより敏感になりそうです。

(2)新議長ウォーシュ氏の今後の発言。就任後初のジャクソンホール講演でタカ派色を見せただけに、次の発言機会でその姿勢がどこまで続くのかが焦点になります。

(3)株式市場全体としては、金利上昇局面ではハイテク・グロース株が相対的に不利になりやすい点には注意が必要です。エヌビディア決算を起点にした上昇が続くのか、金利要因で頭打ちになるのか、来週の値動きを注視したいところです。短期的な金利の綾は気になりますが、米国株の長期的な成長ストーリー自体が崩れたわけではないと、ひろきちは考えています(以前の記事「株式市場これから30年以上 米国安泰の理由」も参考にどうぞ)。

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!

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