どうも、ひろきちです。
今回は8月24日(月)から8月28日(金)までの1週間、米国株市場の振り返りをお届けします。今週は「エヌビディア決算」と「ジャクソンホール会議」という2大イベントが重なった、値動きの荒い一週間でした。8/28の終値がどうだったか、来週の見通し、そして就任後初めてジャクソンホール会議に登壇した新FRB(連邦準備制度理事会)議長ケビン・ウォーシュ氏の発言まで、まとめて解説していきます。
結論:8/28終値は反落も、週間ではプラス圏をキープ
まず結論からお伝えします。8月28日(金)の終値は、主要3指数がそろって下落しました。
・S&P500:7,711.76(前日比▲19.23ポイント、▲0.2%)
・ダウ工業株30種平均:53,559.99(前日比▲9.45ポイント、▲0.1%)
・ナスダック総合指数:26,402.42(前日比▲138.93ポイント、▲0.5%)
・ラッセル2000(小型株指数):2,972.37(前日比▲41.97ポイント、▲1.4%)
金曜だけを見ると「下がった」という結果ですが、週間(月〜金の5日間)のトータルで見ると話は変わります。S&P500とダウは週間で+0.5%、ナスダックは+0.8%とそろってプラスで着地しました。唯一、中小型株で構成されるラッセル2000だけが週間で▲1.5%とマイナスに沈んでいます。「金曜は下げたけど、週トータルでは持ちこたえた」というのが今週の米国株の実像です。

木曜のエヌビディア決算を受けた急伸から、金曜のウォーシュ発言による反落まで、週後半の値動きの大きさがグラフからも見て取れます。
週明けは半導体株安からスタート、木曜のエヌビディア決算が最大の山場に
週の値動きを日ごとに振り返ってみましょう。
月曜(8/24)は、半導体株の下落がナスダックの重しとなり、S&P500は▲0.28%、ナスダックは▲0.76%とやや軟調なスタート。一方でダウは+0.26%と底堅く、指数によって明暗が分かれる日でした。市場関係者の関心は、水曜引け後に控えるエヌビディアの決算発表と、週末に開かれるジャクソンホール会議(FRBが主催する経済シンポジウム)にすでに向いていたようです。
火曜(8/25)は原油価格の下落が債券市場の不安を和らげ、3指数そろって上昇(S&P500 +0.3%、ダウ +0.3%、ナスダック +0.7%)。水曜(8/26)は、インフレ指標が市場予想をわずかに上回ったことから様子見ムードが強まり、値動きは小幅にとどまりました(S&P500はほぼ横ばい)。
そして木曜(8/27)、今週最大のイベントだったエヌビディアの決算が発表されます。売上高は962億ドル(前年同期比+106%)、EPS(1株あたり利益)は2.22ドルと市場予想を上回り、さらに次期(2027年度第3四半期)の売上高見通しを1,080億ドルと強気に提示しました。これを好感してエヌビディア株は1日で8.7%前後急伸。AI関連需要の底堅さを再確認する内容だったこともあり、ナスダックは+1.6%、S&P500も+0.7%と大きく上昇し、記録的な高値圏に迫る場面もありました。
金曜はジャクソンホール会議、新FRB議長ウォーシュ氏がタカ派姿勢を鮮明に
週の最終日である金曜(8/28)は、ワイオミング州で開催される「ジャクソンホール会議」に注目が集まりました。この会議は毎年8月にFRBが主催する経済シンポジウムで、歴代のFRB議長が金融政策の方向性を示唆する発言を行う場として知られています。
今回とくに注目されたのは、今年の会議がケビン・ウォーシュ新FRB議長にとって就任後初めての基調講演だったことです(ウォーシュ氏は、パウエル前議長の後任として今年就任しました)。
ウォーシュ議長は講演で「インフレ率はいまだに2%目標を上回っている。FRBの最優先課題は物価の安定であるべきだ」と述べ、現在のインフレ率が3.4〜3.7%程度で推移している状況に強い懸念を示しました。具体的な利上げ・利下げの時期については明言を避けたものの、この発言をきっかけに市場では9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合での利上げ観測が急上昇。利上げ確率は発言前の約33%から一気に50%超まで跳ね上がりました。
短期金利が上昇する一方で長期金利は低下する、いわゆる「ベア・フラットニング」と呼ばれる金利の動きも見られ、金利上昇に敏感な中小型株(ラッセル2000)が特に大きく売られる結果となりました。
またウォーシュ議長は、細かい将来の金利見通しを事前に示す「フォワードガイダンス」に否定的な立場を明らかにし、「発言よりも結果で信頼を積み上げる、より静かなFRB」を目指す姿勢も示しています。実際、6月の会合ではFRBが四半期ごとに公表してきた金利見通し(ドットプロット)の提出を見送るという、これまでにない対応も取っています。市場からすれば「次の一手が読みにくいFRB」になったとも言え、これが今後しばらく株式・債券市場のボラティリティ(変動率)を高める要因になりそうです。
指数ごとの温度差にも注目
下のグラフは、今週(8/24〜8/28)の主要4指数の週間騰落率をまとめたものです。

S&P500・ダウ・ナスダックがそろってプラス圏を維持する一方、ラッセル2000だけがマイナスとなっているのが一目で分かります。これは、ウォーシュ議長のタカ派発言を受けて金利上昇観測が強まったことが、借入コストの影響を受けやすい中小型株により重くのしかかった結果です。大型のハイテク株はエヌビディア決算という強力な追い風があった分、金利上昇の逆風をある程度相殺できたと言えそうです。
来週の展開予想:最大の焦点は9月4日発表の8月雇用統計
来週(8月31日〜9月4日)で最も注目すべきイベントは、9月4日(金)の米国時間午前8時30分に発表される8月分の雇用統計(非農業部門雇用者数)です。
実は7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比▲23,000人という異例のマイナスを記録し、市場に「景気減速」への警戒感を広げていました。当時はこの弱い数字を受けて9月の利上げ観測が後退していたのですが、今回のウォーシュ議長のジャクソンホール発言で流れが一変。「インフレ抑制を優先する」という姿勢が強調されたことで、雇用の弱さよりも物価の高さに市場の関心が移っています。
つまり来週は「雇用は弱いのか、それとも持ち直すのか」「インフレは高止まりしたままなのか」という、方向性の異なる2つの懸念がせめぎ合う展開になりそうです。もし8月の雇用統計も弱い結果となれば、再び「景気減速」を意識した利下げ観測が強まり株式市場にとって追い風となる可能性がありますし、逆に雇用が予想以上に強ければ、ウォーシュ議長の発言と合わせて利上げ観測がさらに強まり、株式市場には逆風となりそうです。なお、FOMC(米連邦公開市場委員会)自体の次回会合は9月15〜16日で、来週発表される雇用統計の結果は、その会合での判断材料としても重要な意味を持ちます。現在の政策金利は3.50〜3.75%のレンジで据え置かれています。
このほか、月初恒例のISM製造業景況指数の発表や、エヌビディア決算を受けたAI関連・半導体株の値動きが続くかどうかも引き続きチェックしておきたいポイントです。個人的には、雇用統計の結果次第で振れ幅の大きい一週間になりそうだと見ています。無理にポジションを傾けず、データを一つずつ確認しながら対応していきたいと思います。
まとめ
今週の米国株市場は、エヌビディアの好決算という追い風と、新FRB議長ウォーシュ氏のタカ派発言という逆風が入り混じった一週間でした。結果として週間ベースでは主要3指数がプラスを確保したものの、金曜は反落して終了。来週は8月の雇用統計という大きなイベントを控え、インフレと雇用のどちらを市場が重視するかによって、値動きの方向性が左右されそうです。
English version is here → https://hirokichiiii.com/投資のいろは/us-stock-2026-0824-en-2/
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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