どうも、ひろきちです。
2026年10月16日(金)までの1週間で、米国株のナイキ(NKE)が約7%上昇しました。10月9日の終値は34.71ドル、10月16日の終値は37.13ドルです。
ただ、この上昇には「決算が良かった」といった会社発表のニュースは見当たりません。10月1日の決算では、今期の売上減少見通しが嫌気されて株価が下がったばかりです。では、なぜ上がったのか。今のナイキをどう見ればよいのか。数字を確認しながら、できるだけ分かりやすく整理します。
ナイキはどんな会社?世界最大級のスポーツ用品メーカー
ナイキは、シューズ・ウェア・スポーツ用品を世界で展開するアメリカの企業です。「NIKE」「Jordan」「Converse」といったブランドを持っています。2026年5月期(2026年度)の売上高は約464億ドルで、世界のスポーツ用品の中でトップクラスの規模です。
売り方は大きく2つあります。ひとつは小売店などに卸す「卸売(ホールセール)」、もうひとつは自社のアプリや直営店で売る「ナイキ・ダイレクト」です。2026年度は、卸売が275億ドルに増え、ダイレクトが177億ドルに減りました(出典:ナイキ2026年度決算)。自社チャネルの来店客数の減少が響いています。
ちなみにナイキの決算期は5月末です。「2027年度第1四半期」は、2026年6〜8月のことを指します。
株価と投資指標:1週間で約7%上昇、それでも高値の半分以下
まず株価の確認です。10月16日終値は37.13ドルでした。直近の動きは次のとおりです(出典:StockAnalysis)。
| 日付 | 終値(ドル) | 前日比 |
|---|---|---|
| 10月9日(金) | 34.71 | -0.09% |
| 10月12日(月) | 35.35 | +1.84% |
| 10月14日(水) | 35.30 | -0.08% |
| 10月15日(木) | 37.14 | +5.21% |
| 10月16日(金) | 37.13 | -0.03% |
上昇の大部分は15日(木)の1日で起きています。この日はハイテク株が売られ、割安感のある消費関連株へ資金が移る動きがありました。ルルレモンが5.1%、デッカーズが3.9%上昇しており、ナイキ固有のニュースというより「業界全体の見直し買い」と見るのが自然です(出典:The Motley Fool)。
主な投資指標は、2026年10月16日終値ベースで次のとおりです(出典:StockAnalysis)。
- 時価総額:約551億ドル
- PER(株価が1株利益の何倍かを示す割安さの目安):17.79倍(実績)、28.35倍(予想)
- 1株配当:年1.64ドル、配当利回り4.42%
- 52週の株価レンジ:31.97〜70.44ドル
52週高値の70.44ドルと比べると、まだ4割以上低い水準です。「1週間で7%上がった」と言っても、大きな下落の中の小さな戻りという位置づけです。
業績チェック:売上は横ばい、今期は減収予想
ナイキの直近の業績です。
| 年度(5月期) | 売上高 |
|---|---|
| 2024年度 | 約514億ドル |
| 2025年度 | 約463億ドル |
| 2026年度 | 約464億ドル |
出典:ナイキの各年度決算発表。2024年度から2025年度にかけて約1割減り、2026年度は横ばいでした。純利益は2025年度が約32.2億ドル、2026年度が約31.1億ドルで、3%の減少です。2026年度の粗利益率は42.9%でした。
では、10月1日に発表された直近の決算(2027年度第1四半期、2026年6〜8月)を見てみます(出典:ナイキIR)。
- 売上高:112.13億ドル(前年同期比-4%)
- 粗利益率:42.8%(0.6ポイント改善。倉庫・物流コストの低下が主因)
- 純利益:7.12億ドル(同-2%)
- 1株利益(希薄化後):0.48ドル(市場予想0.43ドルを上回る)
地域別では、北米が51.27億ドルで+2%と堅調でした。一方、中国を含むグレーターチャイナは11.8億ドルで-22%(為替の影響を除くと-26%)、コンバースは-28%と苦戦しています。
利益は予想を上回ったのに、株価が下がったのはなぜか。理由は「今期の見通し」です。会社は2027年度の売上高を「ひと桁台後半の減少」と見込み、調整後の1株利益を1.15〜1.35ドルとしました。これは市場予想の平均(約1.61ドル)を大きく下回り、予想のいちばん低い値(1.42ドル)よりも低い水準でした(出典:StockTitan)。
今後の経営方針:コスト削減「Pace」と11月のInvestor Day
ナイキの再建は、CEOのエリオット・ヒル氏が進めています。経営方針のポイントは次の2つです。
①スポーツ起点の商品づくり(Sport Offense)
ヒル氏は決算で、ランニングなどのパフォーマンス事業で「目に見える進展がある」と述べました。一方で「スポーツウェア、ジョーダン、中国にはまだやるべきことがある」とも認めています。
②コスト構造の見直し「Pace」
サプライチェーンの刷新や組織の簡素化などを進める計画です。2031年度までに累計約25億ドルのコスト削減を見込む一方、約10億ドルの費用(主に人件費関連)がかかる見通しです。
株主還元では、四半期配当を0.40ドルから0.41ドルへ引き上げました。ただ、自社株買いは2023年度の55億ドルから2026年度は1.23億ドルまで縮小しています(出典:StockTitanの集計)。
11月には投資家向けイベント「Investor Day」が予定されており、5年間の財務目標が示される見込みです。次の大きな注目点になりそうです。
株価の展望:強気材料と弱気材料
ここからは、プラス材料とマイナス材料を両方並べます。
強気材料
①粗利益率の改善:売上が減る中でも、粗利益率は42.8%に上昇しました。
②割安感と高配当:実績PERは17.79倍、配当利回りは4.42%で、直近の下落を背景に「見直し買い」が入りやすい水準です。
③11月のInvestor Day:中長期の目標が示され、再建の道筋が見えれば、株価が前向きに反応する可能性があります。
弱気材料
①今期の減収・減益見通し:売上はひと桁台後半の減少、調整後1株利益は1.15〜1.35ドルと、前年より大きく下がる見込みです。
②中国の不振:グレーターチャイナは-22%、コンバースは-28%と、回復の兆しがまだ見えません。
③配当の持続性:年間配当は1ドル64セントです。調整後1株利益の予想レンジ(1.15〜1.35ドル)に対し、StockTitanは配当性向を約121〜143%と試算しています。あくまで第三者の試算ですが、利益を上回る配当が続けば、現金や借入に頼ることになります。
アナリストの見方も割れています。StockAnalysisの集計では42人の平均が「Hold(様子見)」で、目標株価の平均は37.67ドルと、現在の株価とほぼ同じです。ゴールドマン・サックスのように「Sell」(目標27.50ドル)とする声もあります(出典:FX Leaders)。
ひろきちの見解
個人的には、今回の1週間の上昇は「業績が好転した」というより、売られすぎの反動と資金のローテーションが中心だと見ています。1日の上げに安心するのは早いと思います。
一方で、世界的なブランド力、改善している粗利益率、4%を超える配当利回りは、長く持つ人には気になる材料です。ただ、利益の減少が続くなかで、配当が今後どう扱われるかは確認したいところです。まずは11月のInvestor Dayで、再建計画と株主還元の方針がどう示されるかを見てから判断しても、遅くはないのではないでしょうか。
まとめ:1週間で約7%上昇も、ナイキの再建はまだ途中
今回のポイントを整理します。
- 10月16日終値は37.13ドルで、1週間の上昇率は約7.0%。上昇は主に15日の1日で、会社固有の材料はなかった。
- 2027年度第1四半期は、利益が予想を上回る一方、売上は-4%。今期は減収見通しで、株価は決算後に下落した。
- 粗利益率の改善やコスト削減「Pace」はプラス材料。中国の不振や配当性向の高さには注意。
- 次の注目点は11月のInvestor Day。
引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。株価・指標は2026年10月16日終値時点で、その後変動します。
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