【解説】銀行にお金を預けるだけは損?100万円が実質88万円になったインフレ時代の投資術

投資のいろは

どうも、ひろきちです。

「投資は怖いから、とりあえず銀行に預けておけば安心」。数年前までなら、これはほぼ正解でした。でも2026年のいま、預金に置いたままのお金は静かに価値を減らしています。

今回は「銀行にお金を預けるだけは損なのか?」を、公的な統計と試算グラフでハッキリさせます。そのうえで、インフレ時代を生き抜くための投資術を、初心者の方にも分かる形で整理しました。

2020年に預けた100万円は、2026年に実質88万円になった

2020年に預けた100万円の実質価値の推移(2020年から2026年)

まず現実を確認します。総務省の消費者物価指数(世の中のモノやサービスの値段を指数にした統計)を見ると、2020年を100としたとき2026年6月の総合指数は113.6でした(出典:総務省 消費者物価指数 全国 2026年6月分)。

これは、2020年に100万円で買えていたモノを今そろえるには約113万6千円必要という意味です。裏を返せば、2020年から銀行に置いたままの100万円は、購買力ベースで約88万円(100万円÷1.136)まで下がったということ。6年で12万円分が、知らないうちに消えた計算になります。

上のグラフを見ると、実質価値が2022年からはっきり右肩下がりになっているのが分かります。当時の預金金利はほぼ0%だったので、利息では穴埋めできませんでした。

普通預金0.4%でも「実質金利マイナス」は続いている

「でも最近は金利が上がってきたよね?」その通りです。日銀は2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げました。1995年9月以来、約31年ぶりの水準です(出典:東京海上アセットマネジメント マーケットレポート)。これを受けて、メガバンク3行も2026年8月から普通預金金利を0.4%に引き上げると発表しています。

金利0.001%の時代を知っていると0.4%は大きな進歩に見えます。ただ、比べる相手はインフレ率です。

お金の置き場所金利・利回り(年)インフレ1.7%を引いた実質
メガバンクの普通預金0.4%(2026年8月から)約-1.3%
個人向け国債 変動10年1.80%(2026年7月募集分)約+0.1%
株式インデックス(S&P500の過去30年平均)年9〜10%程度年6〜7%台

物価が年1.7%上がるなかで預金金利が0.4%なら、差し引き年1.3%分の購買力が毎年削られている計算です。これが「実質金利がマイナス」という状態です。通帳の残高は増えているのに、買えるモノは減っている。損した感覚がまったくないのが、インフレのいちばん厄介なところだと思います。

ちなみに実質賃金(物価の影響を除いた給料の伸び)は2026年5月時点で前年同月比1.4%増、5か月連続プラスでした(出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査)。給料は物価に追いついてきた。でも預金は追いついていない、というのが今の構図です。

インフレ年2%が30年続くと、100万円は実質62万円になる

普通預金0.4%とインフレ2%で100万円の名目残高と実質価値がどう変わるかのシミュレーション

日銀が目標にしている物価上昇率は年2%です。つまり2%のインフレは異常事態ではなく、これからの前提として考えるべき数字です。

普通預金0.4%に置いたままインフレが年2%で続いた場合を試算したのが上のグラフです。名目の残高(青)は30年で112万円まで増えますが、実質の価値(赤)は62万円まで下がります。

青と赤の開き(薄く塗った部分)が、そのまま「気づかないうちに失った購買力」です。10年で約15%、20年で約27%、30年では約38%の目減り。老後資金のように20年〜30年の時間軸で考えるお金を預金だけに置くのは、それ自体がリスクを取る行為なんですね。

このあたりの「時間が味方になるか敵になるか」という話は、複利を実感できるのは1000万円から、爆発力を感じるのは3000万円からでも詳しく書いています。

インフレに強い資産とは?置き場所で20年後に2.4倍の差

100万円を20年置いた場合の実質価値を普通預金・個人向け国債・株式インデックスで比較

では、どこに置けばいいのか。同じ100万円を20年置いたときの実質価値を、置き場所別に比べたのが上のグラフです。普通預金(年0.4%)は73万円、個人向け国債 変動10年(年1.80%)は96万円、株式インデックス(年5%と想定)は179万円になりました。

普通預金と株式インデックスで、実質価値に2.4倍以上の差がついています。ポイントはシンプルで、インフレ率(年2%)を上回るリターンがあるかどうか。上回れば実質でプラス、下回れば実質でマイナスです。

参考までに、米国のS&P500(米国の代表的な株価指数)は過去30年の年平均リターンが約9〜10%、インフレ調整後でも年6〜7%台という実績があります。過去が将来を保証するわけではありませんが、「インフレを上回る手段は現実に存在する」ことは知っておいて損はありません。

インフレ対策になる資産の特徴を、表にまとめました。

手段期待できること注意点
普通預金いつでも使える、元本が減らないインフレに確実に負ける
定期預金・個人向け国債元本割れしにくく、金利上昇に追随する大きく増やすのは難しい
投資信託(インデックス)長期でインフレを上回る期待短期では2〜3割下がることもある
高配当株配当収入、企業の増配で受取額が増える銘柄選びの手間、減配リスク
金・REIT(不動産投信)実物資産としてインフレ耐性がある金は利息を生まない、REITは金利上昇に弱い

今日からできるインフレ時代の投資術3ステップ

いきなり全額を投資に回す必要はありません。ひろきちがおすすめしたい順番はこの3つです。

ステップ1:生活防衛資金は預金で確保する

まず生活費の6か月〜1年分を普通預金に置きます。ここは増やす場所ではなく、いつでも引き出せる安心を買う場所。インフレで多少目減りしても割り切ってよい部分です。日本人の平均的な貯蓄額は日本人の貯蓄額はいくら?年代別・単身世帯 vs 二人以上世帯を徹底比較で確認できます。

ステップ2:新NISAのつみたてでインデックス投資を始める

生活防衛資金を確保できたら、残りをNISA(運用益に税金がかからない制度)のつみたて投資枠に回します。全世界株式や米国株式のインデックスファンドを、毎月一定額ずつ。月1万円でも十分なスタートです。

NISAはもう珍しい選択ではありません。金融庁の調査では2025年12月末時点のNISA口座数が約2,826万口座、累計買付額は約71兆円まで拡大しました(出典:金融庁 NISA口座の利用状況に関する調査結果)。日本の家計金融資産に占める現金・預金の比率も、2026年3月末で47.2%まで低下しています(出典:日本銀行 資金循環統計)。「貯蓄から投資へ」は実際に動いているわけです。

ステップ3:使う時期が決まっているお金は個人向け国債などへ

3年後に車、5年後に住宅リフォーム。こうした使い道と時期が決まっているお金は、株式だと相場次第で足りなくなる可能性があります。ここは個人向け国債(変動10年は2026年7月募集分で年1.80%)や定期預金が向いています。金利が上がる局面では、半年ごとに利率が見直される変動型が有利です。

それでも預金は必要。「守るお金」と「増やすお金」を分ける

ここまで預金の弱点を書いてきましたが、預金が悪いわけではありません。「元本が減らない」「すぐ使える」という、投資では代替できない強みがあります。問題は全部を預金に置くことです。

これから意識しておきたいポイントを3つ挙げます。

(1) 日銀の追加利上げ。政策金利がさらに上がれば預金金利も上がりますが、物価上昇率を超えるかどうかは別問題です。
(2) 物価上昇率の落ち着き方。エネルギーや食料の値動きで数字は上下するので、1〜2か月ではなく年単位のトレンドで見たいところです。
(3) 自分の現金比率。家計の総資産のうち何%が現金・預金かを一度計算してみてください。目安がなければ、日本の平均47.2%を出発点にするのも手です。

ひろきち自身も、生活防衛資金は預金、それ以外はNISAと米国ETFという形で分けています。毎月の実績は総資産公開の全記録にまとめているので、リアルな数字を見たい方はそちらもどうぞ。投資をしないこと自体のリスクについては貯金だけでは大損?インフレ時代に投資をしないリスクと対策でも解説しています。

まとめると、銀行にお金を預けること自体は損ではありません。損なのは「全部を預けたまま、何年も放置すること」です。インフレ時代は、預金だけでいることが一番のリスクになります。まずは月1万円のつみたてから、無理せず始めていきましょう。

引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!

English version is here → [Explainer] Is Leaving Your Money in the Bank a Losing Move?

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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