どうも、ひろきちです。
2026年8月4日、スペースX(SpaceX、証券コード:SPCX)が今年6月のナスダック上場後、初めてとなる四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比92%増と大幅な増収でしたが、決算発表後に株価は下落しています。今回は、この「増収なのに株価が下がる」という一見不思議な現象の中身を、数字を追いながら分かりやすく解説していきます。
スペースXの上場からこれまでの株価推移
スペースXは2026年6月12日、1株135ドルの公開価格でナスダックに上場しました。初値は150ドル前後と公開価格を11%ほど上回るスタートを切り、その後は一時225ドル付近まで急伸する場面もありました。
ところが直近(2026年8月3日終値)では114.53ドルまで下落しており、公開価格からも15%ほど低い水準です。高値からの時価総額の目減りは1兆ドルを超えるとも報じられており、上場から2カ月足らずで株価はかなり乱高下していることになります。
長期的に米国株が強い理由については、以前の記事「株式市場これから30年以上、米国安泰の理由」でも触れているので、興味のある方はあわせてチェックしてみてください。
2026年4-6月期決算のポイント:売上92%増、純損失は縮小
肝心の決算内容ですが、2026年4-6月期の売上高は78億1,400万ドルで、前年同期比92%増でした。最終損益は5億4,100万ドル(日本円で約850億円)の赤字となりましたが、前年同期の10億800万ドルの赤字からは赤字幅が大きく縮小しています(日本経済新聞、時事通信の報道による)。
この数字を見ると分かる通り、売上高はほぼ倍増している一方で、純損失は半分近くまで圧縮されています。単純に「赤字企業」と切り捨てるのではなく、収益改善が着実に進んでいる決算だったと言えそうです。
好調の理由はスターリンクとAI事業の二本柱
増収を支えたのは、衛星通信サービス「スターリンク」と、AI(人工知能、コンピューターに人間のような判断をさせる技術)関連事業です。
スターリンクの契約者数は1,200万件に達し、前年同期から倍増、前四半期比でも17%増えました。売上も前年同期から17億ドルほど積み増しています。
もう一つの柱がAI事業です。スペースXはAnthropic(アンソロピック)やGoogle(グーグル)向けに計算資源(コンピューターの処理能力)を貸し出すビジネスを展開しており、AI事業の売上は前年同期比247%増、金額にして約20億ドルの増加に貢献しました。ロケット打ち上げ事業だけでなく、通信とAIインフラという2つの成長エンジンを持つ企業に姿を変えつつある、というのが今回の決算から見える変化です。
それでも株価が急落した理由:設備投資2.9兆円の衝撃
売上・利益とも市場予想を上回る内容だったにもかかわらず、決算発表後に株価が下落したのはなぜでしょうか。答えは「設備投資(キャップエックス、将来のための先行投資)の規模」にあります。
2026年4-6月期の設備投資は約184億ドル(日本円で約2兆9,000億円)に達し、前年同期の6倍を超える水準まで膨らみました。このうち158億3,000万ドルはAI関連(大規模計算基盤「Colossus II」の構築など)に充てられています。設備投資全体の86%以上がAI関連に集中している計算になり、ロケットや衛星といった本業の投資よりも、AIインフラへの投資の方がはるかに大きいわけです。
GoogleやMeta(メタ)、OpenAI(オープンAI)なども同じようにAIインフラに年間数兆円規模を投じており、スペースXも「宇宙企業」から「AIインフラ企業」へと軸足を移しつつあるように見えます。市場は「その投資が本当に利益として回収できるのか」を見極めきれず、慎重な反応を見せた形です。AIチップ関連銘柄の値動きが荒くなっている点は、以前の「日経平均が大幅下落したAI半導体株急落の相場まとめ記事」でも取り上げているので、あわせて読んでみてください。
決算サマリー表で振り返る
数字が多く出てきたので、ここで一度、前年同期と今回の決算を表で比較しておきます。
| 項目 | 2025年4-6月期 | 2026年4-6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 約40億ドル | 78.1億ドル(+92%) |
| 純損失 | 10.08億ドル | 5.41億ドル(約850億円) |
| 設備投資 | 約29億ドル | 184億ドル(約2.9兆円) |
| スターリンク契約者数 | 約600万件 | 1,200万件 |
決算発表後、スペースXの株価は一時5〜8%程度下落しました(複数の米メディア報道による)。増収増益方向の内容自体は好感されたものの、「AI投資の規模が大きすぎるのではないか」という懸念が株価の重荷になった格好です。
今後の注目ポイント
ひろきち個人としては、今後は次の3点に注目しています。
(1)AIインフラ事業の収益化ペース:AnthropicやGoogleとの契約が今後さらに積み上がるのか、それとも一巡するのか。
(2)スターリンクの契約者数の伸び:1,200万件からどこまで積み上げられるか、ARPU(契約者1人あたりの平均収益)の推移も注目材料です。
(3)ロックアップ解除の影響:報道によると、上場時に売却制限がかかっていた116億ドル規模の株式のロックアップ解除が控えているとされ、需給面での株価の重荷になる可能性があります。
投資家心理としては「AI投資はいつか回収できる」という期待と、「投資が重すぎて利益を圧迫する」という不安がせめぎ合っている状態だと感じます。次回以降の決算で、AI事業の売上成長ペースが設備投資の伸びを上回ってくるかどうかが、株価にとっての次の分岐点になりそうです。
今回はこのあたりで。引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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