どうも、ひろきちです。
2026年8月4日、ソフトバンク株式会社(9434)が2027年3月期第1四半期の決算を発表し、売上高・営業利益ともに四半期ベースで過去最高を更新しました。発表を受けて株価は翌8月5日に一時+4.72%まで買われるなど、市場の反応も上々でした。また2026年5月には2031年3月期を最終年度とする新しい中期経営計画「Activate AI for Society」も公表されています。今回は決算の中身と、この会社が目指す方向性について整理してみたいと思います。
ソフトバンク(9434)とはどんな会社?
ソフトバンク株式会社は、スマートフォン「SoftBank」「LINEMO」「Y!mobile」などの通信サービスを中心に、法人向けICT、決済・金融、メディア・ECまで幅広く手がける総合通信会社です。親会社であるソフトバンクグループ(9984)とは別の上場会社で、証券コードも9434と9984で異なります(この2つを混同する人が多いので要注意です)。2024年10月には1株を10株に分割しており、現在は数百円台という買いやすい株価水準になっています。
事業は「コンシューマ」(個人向け通信)「エンタープライズ」(法人向けICT・クラウド・AI)「ディストリビューション」(法人向けICT商材の卸売)「ファイナンス」(PayPay・PayPayカードなどの決済・金融)「メディア・EC」(LINEヤフーの広告・コマース等)の5つのセグメントで構成されています。2026年3月期の営業利益ベースで見ると、稼ぎ頭は今も個人向け通信を担うコンシューマ事業で全体の約半分を占め、次いでLINEヤフー等を含むメディア・EC事業、クラウド・AIを担うエンタープライズ事業と続きます。
【画像:セグメント別営業利益構成比グラフをここに挿入】
この円グラフから分かる通り、通信を中心としたコンシューマ事業が依然として利益の柱ですが、後述する新中期経営計画ではエンタープライズ(クラウド・AI)とファイナンス事業の伸びしろに大きく賭けている点が特徴です。
株価と投資指標をチェック(2026年8月5日時点)
まず株価です。ソフトバンク(9434)の株価は2026年8月5日終値で230.8円(前日比+10.4円、+4.72%)でした。前日8月4日の決算発表を受けて大きく買われた形です。年初来では2026年7月29日に238円の高値、6月26日に203円の安値をつけており、直近1カ月は決算前後でやや荒い値動きとなっています。
【画像:株価推移グラフをここに挿入】
直近の値動きを見ると、7月中旬にかけて210円台まで軟化した後、7月下旬にかけて236円近辺まで戻し、決算前の7月31日に223円台まで調整、決算発表後の8月5日に230円台まで反発するという展開でした。
投資指標も確認しておきます。時価総額は約11兆822億円(2026年8月5日時点)、PER(株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを示す割安さの目安)は会社予想ベースで19.71倍、PBR(株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標)は実績ベースで3.79倍でした。配当利回りは会社予想で3.81%、1株配当は2027年3月期予想で8.80円と、前期の8.6円から引き上げられており、5年ぶりの増配になります。自己資本比率は16.0%、ROE(自己資本に対してどれだけ利益を上げているかを示す指標)は19.32%となっています。
業績チェック:売上高・営業利益ともに過去最高を更新
次に業績を確認します。ソフトバンクの過去5年間の売上高・営業利益の推移は次の通りです(決算短信ベース)。
【画像:業績推移グラフをここに挿入】
この図から分かる通り、売上高は5期連続で右肩上がりが続いています。営業利益は2023年3月期に8,442億円まで伸びた後、2024年3月期にいったん6,222億円まで落ち込みましたが、2025年3月期に底打ちし、2026年3月期には10,426億円と初めて1兆円の大台に乗せました。2026年3月期は売上高7兆387億円(前期比+7.6%)、営業利益1兆426億円(同+5.4%)、親会社の所有者に帰属する純利益5,508億円(同+4.7%)と、いずれも過去最高です。2023年5月に発表した前中期経営計画の目標(売上高6兆5,000億円・営業利益9,700億円・純利益5,350億円)を、2度の上方修正を経て上回って達成した形になります。
そして直近の2026年8月4日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、売上高1兆8,147億円(前年同期比+9.4%、過去最高)、営業利益3,023億円(同+4.0%)という決算でした。ファイナンス事業とエンタープライズ事業が増益を牽引した一方、メディア・EC事業のセグメント利益は前年同期比▲5.7%とやや伸び悩んでいます。通期の業績予想は据え置かれました。
今後の経営方針:新中期経営計画「Activate AI for Society」
ソフトバンクは2026年5月11日、2027年3月期から2031年3月期までの5カ年を対象とする新しい中期経営計画「Activate AI for Society」を発表しました。2031年3月期の財務目標として、売上高9兆円、営業利益1兆7,000億円、親会社の所有者に帰属する純利益7,000億円を掲げています。2026年3月期の営業利益(1兆426億円)と比べると、5年でおよそ1.6倍に伸ばす計画です。
柱になっているのがAI関連投資です。北海道苫小牧市と大阪府堺市に構築してきたAIデータセンターを順次収益化し、GPUクラウドやソブリンクラウド(国内で完結するクラウド基盤)を法人向けに提供していく方針です。大阪堺のAIデータセンターでは、110エクサFLOPS(1秒間にできる計算回数の単位)規模のAI計算基盤を収容する「AXファクトリー」と、亜鉛・ハロゲン電池という次世代型バッテリーを製造する「GXファクトリー」を構築する構想も明らかにしており、バッテリー事業は2031年3月期に売上高1,000億円以上を目指すとしています。法人顧客基盤を生かした自社AIサービス「Crystal intelligence」の展開や、2026年に発表したセブン&アイ・ホールディングスとの資本業務提携によるID連携・データ活用も、収益化の材料として挙げられています。
セグメント別では、エンタープライズ事業のクラウド・AI関連の売上高とセグメント利益を2031年3月期に2026年3月期比で倍増させる目標を掲げており、成長ドラマの中心に据えていることが読み取れます。ファイナンス事業についても、決済領域の拡大に加えて米国上場を視野に入れた事業機会の追求を表明しています。株主還元については、2027年3月期に1株配当を8.8円へ引き上げる計画に加え、中計期間中は利益成長に応じた継続的な増配を目指すとしています。
株価の展望:強気材料と弱気材料
ここからは今回の決算・新中計を踏まえて、ひろきちが感じたことをまとめます。
まず強気材料です。
(1) 法人向けクラウド・AI需要の拡大です。AIデータセンターの収益化がこれから本格化する局面で、新中計ではエンタープライズ事業の利益を5年で倍増させる目標を掲げています。生成AIの普及が続く限り、追い風になりやすいテーマだと思います。
(2) コンシューマ事業が依然として利益の半分近くを稼ぐ稼ぎ頭であり、モバイル料金プランの改定などで通信単価の改善傾向が続いている点です。通信という安定収益の土台があるからこそ、AI投資に踏み込める体力があるとも言えます。
(3) 5年ぶりの増配に踏み切ったことです。前中期経営計画期間中は8.6円で据え置いていた配当を8.8円へ引き上げ、今後も利益成長に応じた増配を目指すと明言しており、株主還元姿勢が明確になった点はポジティブに受け止められます。
一方で、弱気材料も押さえておく必要があります。
(1) 自己資本比率が16.0%と、一般的な目安とされる30%を大きく下回っている点です。AIデータセンターなどの大型投資が続く中で有利子負債も増加傾向にあり、財務の柔軟性という意味ではやや心もとない水準だと感じます。
(2) 設備投資負担の重さです。新中計では2027年3月期〜2029年3月期の3年間で通信関連の設備投資に1.5兆円、AI関連などの戦略的投資枠に1兆円を充てる計画で、投資回収のペースが想定より遅れれば、フリーキャッシュフローの圧迫要因になり得ます。
(3) メディア・EC事業の足踏みです。直近の2027年3月期第1四半期ではセグメント利益が前年同期比▲5.7%となっており、全事業が一様に伸びているわけではない点は留意しておきたいところです。
個人的には、通信という手堅い収益基盤を持ちながらAIインフラという成長テーマに大きく張っていく今の経営方針は、リスクとリターンのバランスが取れた戦略だと感じています。ただし自己資本比率の低さは通信株としては見過ごせない水準で、AI投資が計画通りに収益化するかどうかを、今後の決算で継続的にチェックしていく必要があると思っています。
まとめ
ソフトバンク(9434)の2026年3月期は売上高・営業利益・純利益のすべてで過去最高を更新し、2027年3月期第1四半期も好調な滑り出しとなりました。新中期経営計画「Activate AI for Society」ではAIデータセンターを核とした成長戦略と、5年ぶりの増配という株主還元強化の両方を打ち出しています。通信という安定収益とAI投資という成長ドライバーのバランスを見ながら、無理のない範囲で注目していきたい銘柄だと思います。引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
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English version is here → [Stock Analysis] SoftBank Corp (9434): Record ¥1.04 Trillion Operating Profit — Is the 230 Yen Stock Still a Buy?
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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