どうも、ひろきちです。今日は資産運用そのものというより、その先にある「未来のインフラ」の話をしたいと思います。テーマはNTTの次世代情報通信基盤構想「IOWN(アイオン)」の宇宙展開です。地上で培った光通信技術を宇宙に持っていき、通信速度で「スペースX超え」を狙うという、かなりワクワクする取り組みが進んでいます。
IOWN(アイオン)とは何か、まずおさらい
IOWNは、NTTが2019年から掲げている次世代の情報通信基盤構想です。光を電気信号に変換せず、光のまま処理・伝送する「光電融合技術」がコアになっていて、従来の電気信号中心のネットワークに比べて、圧倒的な低消費電力・大容量・低遅延を実現できるとされています。
すでに国内では、遠隔地のデータセンター同士を光ネットワークでつなぐサービスなどが始まっていて、AI時代のデータセンター需要増(この話は以前の記事「AI時代の心臓部「データセンター」の重要性とは?」でも触れました)に応える技術としても注目されています。このIOWNの技術を、NTTは今度は宇宙空間にも広げようとしています。
スペースXの衛星間光通信、実力はどれくらい?
「スペースX超え」と聞くとピンとくる人も多いと思いますが、まずは比較対象を確認しておきましょう。イーロン・マスク氏率いるスペースXは、Starlink衛星同士をつなぐ衛星間光通信(レーザーリンク)を実用化していて、その通信速度はおよそ100Gbps(ギガビット毎秒)水準とされています。
スペースXはこの光通信を使って、1日あたり約26万回もの通信を確立し、42PB(ペタバイト)以上のデータをやり取りしているとも報じられています。他の研究機関が20年かけて到達した技術水準を、わずか5年ほどで追い抜いたとも言われるほどで、この分野で世界の最先端を走っている企業であることは間違いありません。
NTTのIOWN宇宙通信、目標は現状の8倍の速度
これに対してNTTは、IOWNの光電融合技術を使った「宇宙通信用IOWNデバイス」を開発しています。2025年11月のNTT R&Dフォーラムで発表されたこのデバイスは、現状の衛星間光通信の主流である約100Gbpsを、最大で約800Gbpsまで高速化することを目指しています。単純計算で現状の8倍、報道によっては「10倍超」とも表現される水準です。
2026年6月には、アイルランドの宇宙向け光通信技術企業MBRYONICSと協業の覚書を締結したことも発表されました。MBRYONICSが、NTTのデジタルコヒーレント技術を組み込んだ光トランシーバーモジュールを開発し、複数の宇宙向け光通信端末への搭載を目指すという内容です。NTTは2026年度中の技術確立、2027〜29年度ごろの製品化を見据えているとのことです。
下の図は、現状のスペースXの水準とNTTが目指す速度の差をまとめたものです。

こうして数字で並べると、NTTが狙っている速度がいかに大きな飛躍かが分かりますね。もちろん目標値なので、実際に商用化された時にどこまで実現できるかは今後の進捗次第ですが、方向性としては非常に野心的だと感じます。
なぜ光電融合技術だとここまで高速化できるのか
宇宙空間での通信は、地上以上に厳しい制約があります。衛星に搭載する機器は、限られた電力と重量の中で動かす必要があるため、消費電力や大きさを抑えつつ性能を上げることが求められます。NTTの光電融合デバイスは、光信号を電気に変換する回数を減らすことで、消費電力を抑えながら省スペース化と高速化を同時に実現できる点が強みとされています。
また、NTTは低軌道(LEO)・静止軌道(GEO)・成層圏プラットフォーム(HAPS)といった複数の高度の衛星や通信インフラを、光の無線通信でつなぐ「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」という構想も掲げています。単に1本の通信リンクを速くするだけでなく、宇宙全体をひとつの巨大な光ネットワークとして設計しようとしているのが特徴です。
投資家目線で見るNTT(9432)への影響
ここからは少し投資家目線の話もしておきます。NTT(証券コード9432)は、通信料収入や配当・自社株買いといった安定株としての側面が強い銘柄ですが、IOWNや宇宙事業といった成長ドライバーも株価材料として意識されています。NTTグループは2024年6月に宇宙事業ブランド「NTT C89」を立ち上げ、宇宙分野への投資を加速させる方針を明確にしています。
もちろん、IOWNの宇宙展開はまだ技術確立・実証段階であり、製品化は2027年度以降の見込みです。短期的な業績インパクトはまだ限定的とみるべきですが、通信キャリアとしてのNTTが「宇宙×光通信」という新しい成長領域を持っていること自体は、中長期の企業価値を考えるうえで押さえておきたいポイントだと思います。配当・自社株買いといった株主還元の話(NTTは2026年度も16期連続の増配を発表しています)と合わせて、こうした技術的な強みも注目材料の一つとして見ておくとよさそうです。
今後の見通し
今後の注目ポイントを整理すると、次のようになります。
(1)MBRYONICSとの協業がどこまで進み、実際の光トランシーバーモジュールが完成するか。
(2)2026年度中とされる技術確立が予定通り進むか、2027〜29年度の製品化スケジュールが維持されるか。
(3)スペースXなど海外の宇宙通信大手との顧客獲得競争で、NTTの技術がどれだけ採用されるか。
宇宙通信の分野は、Starlinkのような衛星インターネットサービスの拡大もあって、今後さらに競争が激しくなっていくと予想されます。日本発の光通信技術がこの競争でどこまで存在感を発揮できるか、ひろきちも引き続き注目していきたいと思います。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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