【解説】エヌビディアが日本に期待する「フィジカルAI」とは?関連する日本の上場企業もまとめて紹介

投資のいろは

どうも、ひろきちです。

2026年7月16日、半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが来日し、「次の産業革命はメイド・イン・ジャパンになる」と語りました。キーワードは「フィジカルAI」です。今回は、エヌビディアが日本に期待するフィジカルAIとは何かを分かりやすく解説し、あわせて関わりの深い日本の上場企業を紹介します。

フィジカルAIとは?現実世界で「動く」AI

フィジカルAIとは、ロボットや自動車などの機械に搭載され、現実世界を認識して自律的に動くAIのことです。ChatGPTのような生成AIが「文章や画像を作るAI」だとすると、フィジカルAIは「体を持って働くAI」とイメージすると分かりやすいと思います。

エヌビディアは2026年1月のCES(世界最大級のテクノロジー見本市)で、このフィジカルAIを中心テーマに掲げました。ロボットの頭脳となる基盤モデル「Cosmos(コスモス)」、現実世界をデジタル空間に再現するデジタルツイン基盤「Omniverse(オムニバース)」、ロボットの学習・シミュレーション環境「Isaac(アイザック)」といった技術をそろえ、生成AIの次の主戦場としてフィジカルAIの覇権を狙っています。

フアンCEOはなぜ「日本」に期待するのか

フアンCEOは日本経済新聞のインタビューで、フィジカルAIは「日本にとっての好機だ」と述べ、「国家の知能は国内で育成すべきだ」と国産AIの重要性を強調しました。

日本が期待される理由は大きく3つあると思います。①ファナックや安川電機など、産業用ロボットで世界トップクラスのメーカーがそろっていること。②製造業の現場で長年蓄積されてきた「実世界のデータ」とノウハウがあること。③少子高齢化による人手不足が深刻で、フィジカルAIの社会実装が最も切実に求められている国であること。AIの頭脳では米国勢が先行しましたが、AIの「体」を作る技術では日本に一日の長があるというわけです。

富士通・ファナック・安川電機・川崎重工の「日の丸連合」が始動

7月16日、富士通はファナック、安川電機、川崎重工業の3社とフィジカルAI分野での事業検討を開始すると発表しました。エヌビディアが技術支援し、デジタル空間と実世界をつなぐロボットの「協調制御基盤」を構築します。

役割分担も明確で、富士通はファナックと製造業、安川電機とは小売・流通、川崎重工とはヘルスケアの分野で実用化を進めます。協調制御基盤は2026年内に「バージョン1」が各社へ提供され、2027年には「バージョン2」がリリースされる予定です。発表会でフアンCEOは「次の産業革命もまた、日本から生まれる」と語っています。

国家プロジェクト「FRONTia」と巨大AIファクトリー

同じ日に、国家レベルの発表もありました。ソフトバンク、ソニーグループ、NEC、ホンダなどが中核となる新会社「Noetra(ノエトラ)」が、エヌビディアの最新GPU「Rubin」を27,500基以上導入した国家規模のAIファクトリーを建設するとNVIDIAが発表したのです。世界初の国家AIインフラとされ、経済産業省が主導するフィジカルAI基盤モデル開発プロジェクト「FRONTia」の計算基盤になります。

経産省とNEDO(国のイノベーション支援機関)はFRONTiaに5年間で最大1兆円を支援します。さらに政府の新しい成長戦略では、AIなど戦略17分野に官民で10.5兆円規模の投資が検討されていると報じられています。上の図のとおり、国を挙げて桁違いのお金が動き出しているのが分かります。

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フィジカルAIに関わる日本の上場企業まとめ

ここからは投資家目線で、フィジカルAIに関わる主な日本の上場企業を紹介します。

まずは今回の4社連合です。富士通(6702)は協調制御基盤の中核で、CPUとソフトウェアを供給します。ファナック(6954)は産業用ロボットの世界大手で、2025年12月にエヌビディア、2026年5月には米グーグルとの協業も発表済みです。安川電機(6506)はサーボモータとロボットの世界大手で、2030年2月期までにフィジカルAI事業へ1,200億円を集中投資する方針を打ち出しています。川崎重工業(7012)はヘルスケア分野を担当し、ヒューマノイド(人型ロボット)の開発でも注目されています。

次に、AIファクトリーを担うNoetra陣営です。ソフトバンク(9434)、ソニーグループ(6758)、NEC(6701)、ホンダ(7267)が中核となり、約44の企業・団体が参画します。さらに部品まで視野を広げると、ロボットの関節に欠かせない精密減速機で世界シェアトップクラスのハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)も、フィジカルAI関連の代表格としてよく名前が挙がります。

ひろきちの視点:今後の注目ポイント

個人的に、今回の発表は「AI相場の第二幕」の号砲だと感じています。今後の注目ポイントは3つです。①2026年内に提供される協調制御基盤「バージョン1」が実際の現場でどこまで成果を出すか。②FRONTiaで開発される国産基盤モデルの実力。③各社の業績にフィジカルAIの売上がいつ乗ってくるか。

テーマ株は期待先行で株価が動きやすく、関連銘柄は報道のたびに大きく上下しています。長期のテーマとしては本物だと思いますが、高値づかみには注意しつつ、決算で中身を確認しながら付き合っていきたいですね。

引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!

English version is here → [Explainer] What Is the “Physical AI” NVIDIA Expects From Japan?

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

ひろきちの実際の運用実績は総資産公開の全記録(まとめページ)で公開しています。

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