どうも、ひろきちです。
今回は9月4日(金)の米国株市場の振り返りです。今日(月曜)は米国がレイバーデーで休場のため、金曜のセッションと週末の材料をまとめてお届けします。結論から言うと、8月の雇用統計が市場予想を大きく上回ったことで「利下げどころか利上げの可能性」が意識され、NYダウ・S&P500・ナスダック総合の主要3指数はそろって反落しました。テスラは新型ロボタクシーの発表が期待外れとなり6%安、ルルレモンは決算失望で20%超の急落と、個別株の値動きも荒れた1日でした。
3指数の動き:そろって反落、雇用統計で利上げ観測が再燃
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| NYダウ | 53,414.25 | -271.86 | -0.51% |
| S&P500 | 7,718.60 | -29.11 | -0.38% |
| ナスダック総合 | 26,506.99 | -77.07 | -0.29% |
3指数とも小幅ながらそろって下落し、週末を迎えました。この表からは、下げ幅自体はそれほど大きくないものの、ダウ・S&P・ナスダックの3つがきれいに足並みをそろえて下げていることが読み取れます。これは特定の銘柄要因というより、金利観測という市場全体に効くマクロ材料が主導した下げだったことを示しています。
背景にあるのは、この日発表された8月の米雇用統計です。非農業部門雇用者数は前月比16万2000人増と、市場予想の5万5000人増を大きく上回りました。失業率は4.1%で横ばいでした。良い経済指標なのに株価が下がるという、一見不思議な反応に見えますが、これは「雇用が強い=FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに動きやすくなる」という受け止め方をされたためです。米10年債利回りは4.76〜4.78%程度まで上昇し、金利上昇に敏感なハイテク・グロース株を中心に売りが出ました。
FF金利先物市場では、9月15〜16日のFOMC(米連邦公開市場委員会、金融政策を決める会合)で利上げが行われる確率が一時58〜60%程度まで織り込まれたと報じられています。ここ数年「利下げ」が話題の中心だった米国市場にとって、利上げ観測が強まるという展開は久しぶりで、投資家心理を慎重にさせた一日だったと言えそうです。
相場を動かした材料:予想の3倍を超えた雇用統計
この日の最大の材料は、なんといっても8月分の雇用統計でした。市場予想の5万5000人増に対し、実際の増加数は16万2000人と3倍近い水準。しかも6月・7月分も上方修正されており、労働市場の底堅さが改めて確認された形です。
ひろきち個人の感想としては、「悪い話ではないのに株が下がる」という展開は初心者のうちは戸惑いやすいポイントだと思います。景気が強い=企業業績にとってはプラス材料のはずですが、金利が上がるとその分、将来の利益を今の価値に割り引く「割引率」が上がり、特にグロース株の理論株価は下がりやすくなります。今回の下げは、この「良い経済指標→金利上昇→株価には逆風」という典型的な構図だったと整理できます。
話題になった銘柄:テスラ、ルルレモン、アップル、ブロードコム
| 銘柄 | 騰落率 | 主な材料 |
|---|---|---|
| テスラ(TSLA) | -6.00% | ロボタクシー「サイバーキャブ」発表が期待外れ |
| ルルレモン(LULU) | -20.40% | 決算が市場予想未達、通期見通しを下方修正 |
| アップル(AAPL) | -2.50% | 新型折りたたみ端末の生産遅れ報道 |
| ブロードコム(AVGO) | +0.21% | 決算は好調もガイダンスへの反応は鈍い |
この表を見ると、同じ「決算・発表」がきっかけでも銘柄によって株価の反応がまったく違うことが分かります。以下、それぞれ掘り下げます。
テスラ(TSLA):ロボタクシー発表が「期待外れ」で6%安
テスラは前日木曜に5.4%上昇していましたが、金曜は一転して6%安。テキサス州オースティンで開催した無人タクシー「サイバーキャブ」の発表イベントが招待制・非公開でCEOのイーロン・マスク氏も登壇せず、内容も「オースティンの限定エリアで無人走行を開始した」という程度にとどまったためです。なぜ注目されたかというと、投資家はテスラが自動運転タクシー市場でアルファベット傘下のウェイモに対抗できるかを重視しており、事前の期待値が高かったこと。なぜここまで下げたかというと、ウェルズ・ファーゴなど複数のアナリストが「期待外れ」「初期の運用に課題」と厳しい評価を出したこと、さらに米運輸当局(NHTSA)がサイバーキャブの安全性についての調査に着手したと伝わったことが重なったためです。ウェルズ・ファーゴのアナリストは「売り」判断と130ドルの目標株価を据え置いており、現状の株価から見るとかなり厳しい見立てです。
ルルレモン(LULU):決算失望で20%超の急落
アパレルブランドのルルレモンは、決算発表を受けて20.4%という大幅安となりました。なぜ注目されたかというと、四半期の売上高が市場予想に届かず、既存店売上高(同じ店舗で前年と比べた売上)の悪化が確認されたこと。なぜこれほど下げたかというと、会社側が通期の業績見通しを下方修正したためです。1つの決算で株価が2割動くというのは大きなインパクトで、業績の「実態」が市場の期待からどれだけ乖離していたかを物語っています。
アップル(AAPL):新製品の生産遅れ報道で2.5%安
アップルは2.5%程度の下落となりました。きっかけは、9月9日に予定される新製品発表イベントを前に、開発中とされる折りたたみ式iPhoneの生産に問題が生じているという報道です。加えて、9月1日付でジョン・ターナス氏がCEOに就任し、ティム・クック氏が会長職に回るという経営体制の切り替え直後というタイミングも重なりました。新体制のスタートと主力候補製品の懸念が同時に出たことで、投資家がやや神経質になった格好です。
ブロードコム(AVGO):決算は良かったのに株価はほぼ横ばい
半導体大手のブロードコムは、AI(人工知能)向け半導体の売上高が前年同期比221%増の167億ドルとなるなど、決算内容自体は非常に強い内容でした。次期見通しでもAI半導体売上高が236%増の217億ドルになるとの見方を示しています。それにもかかわらず株価はこの日+0.21%とほぼ横ばい。なぜこの反応になったのか、明確な単一の理由は見当たりませんが、直近四半期の売上見通しがアナリスト予想をやや下回ったことや、株価がすでに好業績をかなり織り込んだ水準まで買われていたため「材料出尽くし」の反応が出た、という見方が市場では出ています。好決算でも株が上がらない「材料出尽くし」の典型例と言えそうです。
セクター別・ETFの動き:上昇したのはハイテク・資本財・公益の3セクターのみ
この日は主要セクターのうち上昇したのはテック(+0.44%)、資本財(+0.22%)、公益(+0.12%)の3セクターにとどまりました。個別ではキャタピラー(+1.65%)、ハネウェル(+0.95%)、ホームデポ(+0.88%)が上位の値上がり銘柄でした。話題になった4銘柄の騰落率を比べると、ルルレモンの下げ幅の大きさが際立つ一方、ブロードコムはほぼ無風だったことが分かります。
日本の個人投資家に馴染みの深いETFについても触れておくと、S&P500に連動するVOOやVTI、ナスダック100に連動するQQQは、いずれも指数と同様に小幅安で推移したとみられます。高配当ETFのSPYD・HDV・VYMは、金利上昇局面では相対的に底堅く推移しやすい傾向がありますが、この日の詳細な値動きまでは確認できていないため、断定は避けておきます。
為替・商品市場では、ドル円は一時156円台まで円安が進んだ後、日銀の追加利上げ観測やベッセント米財務長官の円安けん制発言もあって155円台前半まで円高に振れました。原油(WTI)は中東情勢の緊迫化によるホルムズ海峡封鎖への懸念から上昇し、金(ゴールド)も1トロイオンス4,472ドル前後まで買われています。VIX(恐怖指数、市場の警戒度合いを示す指標)は14台前半で、水準としては引き続き落ち着いた範囲にとどまっています。
今日の日本株・注目点:レイバーデー明けとCPI待ちの1週間
今日9月7日(月)は米国がレイバーデー(労働者の日)で株式市場は休場のため、日本株は米国からの直接的な追い風・向かい風が乏しい中でのスタートになりそうです。今週の注目点を3つ整理します。
①9月10日に8月の米生産者物価指数(PPI)、9月11日に8月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。雇用統計に続いてインフレ指標が市場予想を上回ると、9月利上げの見方がさらに強まる可能性があります。②9月9〜10日には欧州中央銀行(ECB)の理事会が開催され、欧州側の金融政策方向性も為替・世界の株式市場に影響しそうです。③為替は155円台前半までの円高進行が一服するか、日銀の追加利上げ観測を背景にさらに円高が進むかが焦点です。円高が進めば輸出関連の日本株には逆風となりやすい点は覚えておきたいところです。
投資のいろはとして、米国株まとめ記事は総資産公開の全記録はこちらもあわせてチェックしてみてください。資産形成の全体像を振り返るのに役立ちます。
今日も無理せずコツコツいきましょう。いってらっしゃい!
English version is here → U.S. Market Recap (English)
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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