【解説】AnthropicのIPO申請で米国株が反発!半導体指数は約3%高、S&P500は+0.7%

投資のいろは

どうも、ひろきちです。

10月26日(月)、AIの会話サービス「Claude」を開発するAnthropic(アンソロピック)が、米SEC(証券取引委員会)にIPO(新規株式公開)の正式な登録届出書(Form S-1)を提出しました。この発表をきっかけに、2週連続で下げていた米国株がそろって反発しています。今回は、IPOの中身と市場の反応、そして今週の注目ポイントを整理します。

AnthropicがIPOを正式申請、ティッカーは「ANT」

Anthropicは、ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットにクラスA普通株式を上場する計画です。ティッカー(銘柄コード)は「ANT」。主幹事はゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーで、引受会社は合計22社にのぼります。(出典:ITmedia NEWS)

ただし、売り出す株数と価格帯はまだ決まっていません。Bloombergなどの報道では、11月中旬の上場を目指しているとされています。登録届出書はSECの審査を経て有効になるまで株の売買はできないので、今はまだ「申請が出た段階」です。

規模も桁違いです。6月に上場したSpaceXは約857億ドルを調達しましたが、Anthropicはそれを上回る「1000億ドル超」の調達が取り沙汰されています。ただしこれは報道ベースの数字で、会社が公式に発表したものではありません。実現すれば史上最大級のIPOになります。

S-1で分かった数字:売上は約14倍、でも純損失は807億ドル

今回のS-1で一番注目されたのが、財務の中身です。2026年上半期(1〜6月)の売上高は162億8600万ドルで、前年同期の11億6300万ドルから約14倍に急拡大しました。(出典:テクノエッジ)

一方で、純損失は約807億ドルと巨額です。ただ、Forbesの報道によると、このうち約724億ドルは現金の流出を伴わない会計上の調整で、資金調達で発行した転換証券の評価額が、企業価値の上昇に合わせて膨らんだことが主な理由です。つまり「本業でお金が出ていった額」とは分けて見る必要があります。営業損失は6億9300万ドルで、前年同期の21億3500万ドルからは縮小しています。

ロイターの報道では、10月14日の投資家向け説明会で、第3四半期の売上が前期比45%増の168億ドルだったと伝えられています。急成長には違いありませんが、成長ペースが前の期より落ち着いたことに失望した投資家もいたようです。

米国株は反発、半導体指数は約3%高

このニュースを受けて、26日の米国株は主要3指数がそろって上昇しました。S&P500は0.7%高、ナスダック総合は0.82%高、ダウ平均は146ドル(0.28%)高です。S&P500とナスダックは、2週連続の下落に歯止めをかけた形になります。

特に強かったのが半導体です。フィラデルフィア半導体指数は1日で約3%上昇し、ナスダック100は1.1%高となりました。個別では、エヌビディアが2.4%高(報道により3%台とするものもあります)、AMDが2.8%高、マイクロンが約3%高でした。

2026年10月26日の米国市場の主な値動き(ダウ平均、S&P500、ナスダック、半導体株)

この図を見ると、指数全体の上昇率は1%前後なのに対して、半導体関連は2〜3%と一段大きく動いていて、AnthropicのIPOが「AIのインフラ投資」への期待を呼び戻したことが分かります。(出典:TradingView、Futu)

ひろきちの見方としては、「Anthropic自体の業績が良かったから」というより、「AIに投じたお金が売上として返ってきている」という証拠が公式書類で示されたことが、AI関連株の買い安心感につながったのだと思います。

手放しでは喜べない:IPOが抱える懸念点

ただ、S-1には慎重に見るべき点も多く書かれています。

まず、評価額です。Anthropicは5月の資金調達で評価額9650億ドルをつけていました。上場時は最大で約2兆ドルという見方がありましたが、ロイターによると、10月14日の説明会のあと、一部の投資家の間では約1.5兆ドルという水準も議論されています。どちらもまだ確定した数字ではありません。

次に、将来の支払い負担です。ロイターの報道では、Anthropicは今後10年でクラウドや計算設備に少なくとも5180億ドルを支出する見込みで、その大半は使った量にかかわらず支払う性質のものとされています。

さらに、特定の顧客への偏りや、創業者グループ「Founder LLC」が議決権の50.1%を握るガバナンス構造など、一般の株主にとっては注意が必要な項目もあります。会社自身が、AIの技術が大きなリスクをもたらす可能性についても書類で触れています。

ロイターは、IPOの評判が悪ければAI市場全体の心理にも響きかねない、という見方も伝えています。今回の反発が「AI株の最終的な底打ち」とまでは、まだ言い切れないと思います。

日本の個人投資家はIPOで買える?上場後はどうなる?

気になるのは「自分も買えるのか」という点だと思います。Anthropicは、米国のほか日本、オーストラリア、カナダ、英国、スイス、欧州経済領域の一部でも公募を行う予定だと説明しています。一方で、米国以外の取引所に上場する予定は今のところないとのことです。(出典:ITmedia NEWS)

ただ、米国のIPOは機関投資家への配分が中心で、個人投資家に回る分は全体の5〜10%程度といわれています。日本の証券会社を通す場合は、その枠がさらに限られる可能性があります。抽選に申し込めるかどうかは、各証券会社の発表を待つ必要があります。

上場後は、米国株として市場で売買できるようになります。ただし、一部の既存株主が今回の売り出しで株を売る計画だと報じられていて、内部関係者の保有株も段階的に市場に出てくる可能性があります。需給の面でも、上場直後は値動きが大きくなりやすい点は頭に入れておきたいところです。

今週の注目ポイントと、個人投資家がやるべきこと

今週の米国市場は、IPO以外にもイベントが重なっています。注目点を3つにまとめます。

(1) 大手IT決算:S&P500採用企業の約3分の1が今週決算を発表します。アルファベット、マイクロソフト、アマゾンなど、AI投資の元を取れているかを占う決算が続きます。

(2) FOMC(米連邦公開市場委員会):政策金利の発表は米東部時間の28日午後2時、日本時間では29日(木)午前3時です。決算とあわせて、相場が大きく動く可能性があります。

(3) Anthropicの価格帯の発表:売り出し価格や株数が出たとき、評価額が1.5兆ドルに近いのか2兆ドルに近いのかで、AI関連株の空気が変わるかもしれません。

個人投資家としては、IPO直後は値動きが荒くなりやすいので、話題だけで飛びつかないことが大切だと思います。上場後に買う場合でも、評価額に対して成長が見合っているかを、数字で確認してから判断したいところです。また、AI関連株が集中して上がる局面では、新NISAの積立のように、時間を分散して買う方法が気持ちの面でも楽だと感じます。

引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。数字は2026年10月27日時点の報道に基づいており、今後変わる可能性があります。

月ごとの資産の推移は、総資産公開の全記録まとめでも公開しています。

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