どうも、ひろきちです。
米国時間10月20日(火)、映画・テレビ制作会社のLionsgate Studios(NYSE:LION)の株価が、1日で約17%上がりました。Bloombergが、Apollo傘下のLegendary Entertainmentが新たな買収提案を出したと報じたことがきっかけです。
ただし、この報道は匿名の関係者の話に基づくもので、LionsgateもLegendaryも確認していません。「買収されるかも」という期待で動いた株価なので、冷静に中身を見ておく必要があります。今回は、会社の概要、業績、買収報道、そして今後の見方を整理します。
Lionsgate Studiosはどんな会社?「ジョン・ウィック」「ハンガー・ゲーム」の映画会社
Lionsgate Studiosは、映画とテレビ番組の制作・配給を手がける会社です。「ジョン・ウィック」や「ハンガー・ゲーム」といったシリーズで知られています。
2025年5月に、旧Lionsgateから有料放送のStarz(スターズ)事業が分離され、映画・テレビの制作に専念する「純粋な制作スタジオ」として上場しています。
稼ぎ方は大きく2つです。ひとつは映画部門で、劇場公開の興行収入や配信・DVDなどの販売から収入を得ます。もうひとつはテレビ制作部門で、ドラマなどを作って配信会社や放送局に納品して収入を得ます。2026年3月期の売上は、映画部門が約16.2億ドル、テレビ制作部門が約10.4億ドルでした(部門間の取引調整があるため、合計は全体の売上と一致しません)。
過去に作った作品の権利(ライブラリー)からも継続的な収入があり、直近12か月のライブラリー収入は約9.9億ドルと発表されています。
株価と投資指標:約17%高、報道は「確認されていない」
株価は、MarketBeatの10月20日の記事によると、前日終値10.62ドルから取引時間中に最高12.88ドルまで上昇し、12.44ドル前後(前日比約17%高)で推移しました。時価総額は約36億ドルとされています。ほかの報道では上昇率を「15%超」としているものもあり、数字には幅があります。
同記事では、50日移動平均が11.29ドル、200日移動平均が12.49ドルで、今回の上昇後も長期の平均線付近にとどまっています。直近の損益は赤字のため、PER(株価が1株利益の何倍かを示す割安さの目安)は意味のある数字になりません。
アナリストの評価は、買い8、中立2、売り2の「やや買い寄り」で、目標株価の平均は15.16ドル(レンジは9〜18ドル)と報じられています。JPモルガンが「アンダーウェイト(弱気)」で目標9ドルとしている点は覚えておきたいところです。
報道の内容は次のとおりです。Bloombergによると、Legendaryは約35億ドル(負債約19億ドルを含む)でLionsgateを買収する提案を出したとされています。1株あたりの価格は報じられておらず、Legendary・Lionsgate・Apolloはコメントを控えています。
ここで気になるのは数字の関係です。35億ドルに負債19億ドルが含まれるなら、株式部分は単純計算で約16億ドル。一方、10月20日時点の時価総額は約36億ドルと報じられており、私にはこの2つの数字がうまく整理できていません。1株あたりの価格が出るまで、提案の中身を断定するのは避けたいと思います。
業績チェック:売上は横ばい、営業利益は黒字転換
業績は、会社の決算資料(SEC提出の8-K)で確認します。2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の売上高は26億3,180万ドルで、前期の25億8,470万ドルから約2%の増加でした。営業利益は9,710万ドルで、前期の1,810万ドルの赤字から黒字に転換しています。最終損益は1億9,200万ドルの赤字でしたが、前期の3億7,360万ドルの赤字からは縮小しました。

このグラフを見ると、営業利益は赤字から黒字になった一方、調整後OIBDA(利息・税・償却前の利益に調整を加えた指標)や映画・テレビの各部門利益は前期より小さくなっています。「改善した部分」と「弱くなった部分」が混在している決算だったといえます。
直近の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月、8月6日発表)は、売上が7億7,660万ドルと前年同期比48%増でした。映画部門の売上が5億8,730万ドルと2倍以上になり、部門利益は1億500万ドルと第1四半期として過去最高です。会社は、世界興行収入が10億ドル規模に達した「Michael」と、「The Housemaid」の販売収入を要因に挙げています。
一方で、テレビ制作部門の売上は1億8,930万ドル、利益は1,020万ドルと、納品時期の影響で前年同期より減りました。最終損益(継続事業)は2,880万ドルの赤字です。
財務面では、映画の受注残高(バックログ)が前年比21%増の15億ドル、借金の重さを示すレバレッジ(調整後OIBDAに対する負債の倍率)は4.3倍と報告されています。2026年3月末の有利子負債は約19.4億ドルで、手元資金は約3.4億ドルでした。
今後の経営方針:スタジオとして単独で成長するのか、買われるのか
会社が示している方向は、映画ライブラリーの収入を土台にしながら、ヒット作の積み上げとテレビ制作の納品拡大で稼ぐ力を高めることです。経営陣は、2027年3月期にスクリプト型(台本ありのドラマ)の納品本数が前期の約2倍になると説明しています。
今後の主な作品として、「ハンガー・ゲーム」シリーズの新作と、「ブレアウィッチ」の新作が挙がっています。「The Housemaid」の続編は2027年12月17日公開を目標としていると報じられています。次回の決算発表は11月5日(米国時間の取引終了後)の予定です。
買収の面では、Legendaryが2025年にも関心を示していたと報じられています。Legendaryは2024年にDalian Wanda(大連万達)の持ち分を買い取り、現在はLegendaryとApolloが支配しているとされています。Legendaryは映画の配給を他社(現在はSkydanceのParamount)に頼っているため、Lionsgateを手に入れれば自前の配給網を持てる、というのが報道で語られる狙いです。
他社の関心についても、BanijayとMediawanが関心を示したが、正式な提案は出していないと報じられています。
株価の展望:強気材料と弱気材料
強気材料
① 映画の稼ぐ力が回復しています。直近の四半期は売上が48%増、映画部門の利益は第1四半期として過去最高でした。
② ライブラリー収入(約9.9億ドル)と受注残高(15億ドル)という、安定した土台があります。
③ 買収提案が現実になれば、株価にプレミアムが付く可能性があります。複数の会社の関心が報じられている点も、期待につながっています。
弱気材料
① 買収報道は匿名情報で、確認されていません。2025年にも似た報道がありましたが、売却には至っていません。話が消えれば、上昇分が剥がれるおそれがあります。
② 負債は約19億ドル、レバレッジは4.3倍と、借金の負担は軽くありません。直近の最終損益も赤字です。
③ 映画は当たり外れの大きい事業です。直近の好決算は大ヒット作の貢献が大きく、テレビ制作部門は納品時期の影響で伸び悩んでいます。2026年3月期は、調整後OIBDAや部門利益が前期より減っています。
個人的には、今回の値動きは「会社の価値が変わった」というより「買収への期待が乗った」面が強いと見ています。35億ドルという数字と時価総額の関係も整理しきれないため、私は、続報で1株あたりの価格や、正式な合意の有無が確認されるまでは、結論を急がずに状況を見守りたいと考えています。
まとめ:好決算と買収期待が重なった局面。ただし確認待ち
今回のポイントを整理します。
・Bloombergが、Legendaryが約35億ドル(負債約19億ドルを含む)でLionsgateへ新提案、と報道。会社側は確認せず。
・株価は10/20に約17%上昇し、12.44ドル前後(前日終値10.62ドル)。
・2026年3月期は売上26億3,180万ドル、営業利益は黒字転換。ただし調整後OIBDAや部門利益は前期より減少。
・直近の第1四半期は売上が48%増。次回決算は11月5日の予定。
買収報道は確定ではないため、株価はニュースひとつで上にも下にも動きやすい局面です。引き続き、無理せずコツコツと。次回もお楽しみに!
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
出典:Lionsgate Studios 2026年3月期(第4四半期)・2027年3月期第1四半期決算資料(SEC 8-K)、MarketBeat、Jingletree(Bloomberg報道の引用)、Benzinga、Investing.com 他。株価は2026年10月20日(米国時間)の取引時点のものです。
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